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ベルセルク 29

貿易都市ヴリタニスの桟橋で出会った、シールケとソーニャ。
理不尽な世界にうんざりした二人は、大人相手に大立ち回りをします。

そこで見た光景とは、元海賊の奴隷商が、子供達を連れ去るところ。
その子供達はクシャーンの子供達で、
今やヴリタニスでは、クシャーンは捕まって吊るし首にされるご時世ですが、
さすがに子供にまで手をかけるのは良心が痛むとようで、
そういうヴリタニスの役人のお墨付きをもらって、商売をしているという。

だけど、そんな都の法も商人の理屈も、シールケには関係ない。
魔法で制裁を加えようとします。
そこへイシドロが飛び込んできた!
シールケに魔法を使わせないために、威勢よく立ち回る。
本物の魔女がいるなんてわかったら、もっと大変なことになっちゃうからね。
イシドロは思わず剣を抜くと、初めて人を斬ったが、その場の空気が変わった!
人を斬ったのが初めてなら、大人を本気にさせたのも初めて。
血がのぼった大人達相手に何とか立ち回っていると、
ソーニャの連れのミュールが迎えにやってきた。
ミュールはソーニャ曰く、「アヒルの騎士」。
前巻のソーニャのおとぎ話になぞらえて、シャルロットと同じ貴族出身の騎士です。

イシドロとミュール、まるで競い合うかのように立ち回っていると、
海賊のお頭が登場!
それがまたいかにもな出で立ちで、片足が義足なあたりは、
まるでパイレーツオブカリビアンのバルボッサ!!
ドタバタの末、謎のヒゲの騎士が大暴れして、海賊たちも退散しました。
この騎士、どこかで見たような…。

捕まっていたクシャーンの子供達を、無事に市外まで逃すことができました。
ソーニャは子供達を自分達のところへ連れて行くと。
そしてシールケにも一緒に来ないかと誘う。
ソーニャ達のところには、貴族・平民・放浪者・農奴・病人・クシャーンなど、
あらゆる人間がごちゃまぜで暮らしてる。
中には人間じゃないのもいる。
生まれや生い立ちで、誰かが誰かを裁いたり追い出したりすることのない場所。
もしシールケが今の世界に居場所が無いと感じているならピッタリだと。
だけどシールケは、自分には帰るところがあるからと断る。
シールケは、ガッツや仲間たちにも支えられながら、
どうしようも無く粗野で愚かで醜い人の世界の中で、何とか笑っています。
シールケのあんな無邪気な笑顔、初めて見たかも。

そんなソーニャの帰る場所とは、グリフィス率いる新生鷹の団。
ソーニャは鷹の巫女としてグリフィスに仕え、単に慕っている以上の感情を抱いていました。
でもそんな鷹の巫女であるソーニャでも、思い通りにならないことがありました。
それは、敵の中から救い出されたシャルロットの存在。
シャルロット自身もグリフィスのことを近寄りがたい存在と感じているようですが、
健気にもお菓子を焼いて持っていく姿を見て、つい邪魔をしてしまうソーニャ。
普通の女の子と同じように、やきもちをやくんですね。

一方ガッツ達は、エルフヘルムへ向かう船の手配に苦戦していました。
というのも、あらゆる船が軍船として徴用されているか、軍関連の業務委託を受けていて、
民間の者のために船を出す者など、一人もいませんでした。
そんな中、ファルネーゼは実家のヴァンディミオン家に帰り、ひと肌脱ごうとするのですが…。

すっかり忘れていましたが、ファルネーゼは大富豪のご令嬢。
想像通りのとんでもないお屋敷でした。
厳格な父親は、かつての聖鉄鎖騎士団での件もあり、ファルネーゼを全く受け入れません。
そこへ、同じく父から見放された兄・マニフィコがやってきます。
ファルネーゼから事情を聞いたマニフィコは、ある条件で、船を手配できるという。
それは、マニフィコの友人であるロデリックとの婚約。
ロデリックはイースの王族第三王位継承権者にして、イース海軍の艦長だった。
船一隻くらいどうにでもなる。
かわりにファルネーゼはガッツ達のもとへは戻れなくなった。。。

人の事情に首つっこむのは趣味じゃないとしながらも、
ガッツ達はファルネーゼを取り戻しに行くことに。
これはファルネーゼを仲間として認めている証拠ですね。

ヴァンディミオン家で開かれた舞踏会の様子を見ていると、
昔、まだ人間だったグリフィス率いる鷹の団がドルドレイ攻略戦に勝利した時に、
勝利を祝う舞踏会が開かれたこと。
その時、キャスカがドレスを来て現れたんですよね。
ファルネーゼのドレス姿を見て、思い出しました。
それに、ミッドランドの諸侯たちも出席していて、オーウェン卿も登場し、
さらに懐かしさが増しました。
王家無きミッドランドは、法王庁教圏の他の国々から、領地を切り取られる運命。
祖国奪還の為に奮闘するオーウェン卿を見てると、切なくなります。

若きロデリックやマニフィコは、そんな古い国ではなく、外に目を向けていました。
これからは穏やかで知り尽くされた内海ではなく、荒れ狂う外洋の時代だと。
未知なる航路を拓き、人跡未踏の大地に足を踏み入れ、
それを征した者が時代の勝利者となる。
大航海時代の始まりというわけですね。
そんな中、ガッツ達もちょうど海に出ようとしている。これも因果なのでしょうか。

男たちの野望に巻き込まれつつあるファルネーゼですが、
実母は、そんな男たちの計り事に収まる様な女では無いと言う。
なんと、あの厳格な父ですら、ファルネーゼのことを恐れてきたと。
父にとってファルネーゼは、不可解そのもの。
世界中のすべてを自分の計り事の中に納めてきたけれども、
ファルネーゼはそうはいかなかった。
ファルネーゼは父に対して、自分の気持ちを伝えられたことはない。
でもそのかわりに、言葉に出せない鬱屈した気持ちを、思いもかけない行動で表してきた。
ガッツと行動を共にする前の異様な行動は、こうして説明ができるみたいです。

シールケ、ソーニャ、ファルネーゼと、いずれも俗世では生きていけない者たちの、居場所探しの物語。
ちょっと考えさせられるところもあったな。
帰る場所があるっていうのは、愛おしくて尊いものですね。

ヴリタニスの酒場で食事をしている場面、周りで乱闘騒ぎが勃発していましたが、
その風景がパイレーツオブカリビアンの一幕を観てるみたいでした。
そういえば、乱闘はともかく、この巻でガッツが剣を振ることがなかったな。
骨休めの巻。



ベルセルク (29) (Jets comics)

ベルセルク (29) (Jets comics)

  • 作者: 三浦 建太郎
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2005/09/29
  • メディア: コミック


鎮守府・ヴリタニスに入ったガッツ一行はエルフヘルムへの船の調達に苦心していた。
そんな中、港に立ち寄ったシールケは人買い商人(元・海賊)に追われるクシャーンの子供たちをかばい危機に陥る。
彼女らを助けようとするイシドロ、ミュールは海賊たちを大立ち回りを演じるが、子供達だけでこの危機を乗り越えられるのか?
タグ:ベルセルク
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