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ライトフライト~帰りたい奴ら~

TEAM NACSシゲさんのソロプロジェクト第二弾!
完全なるコメディで、「シゲさんのやらせたい放題の芝居」と言われると、
とってもしっくりきます。

N.A.S.Aという架空の新規参入航空会社の初フライト。
その機内で起きる様々な出来事や、巻き込まれた出来事なのですが、
ほぼほぼコメディなので、もうストーリーとかテーマとかどうでもよくなってしまう。
そのくらい、いろんなことが起きます。
よくもここまで飛んだ発想が出てくるなぁと、とてもシゲさんらしい作品だと思います。

うーん、何だろう。字で説明するのが難しい。
それと同じように、役者さんも台本の状態で読んだ段階では。
?マークがいっぱいなんだろうな。
でもこうして形にできたことには感服しかなく、
とにかく「実際に観てください」としか言いようがないのですが。

とりあえず、私なりに思ったことをポツポツと綴っていきます。
こういう作品なので、あまりまとまったことは書けないかもしれないけど、
(↑いつもだろ?)
そこはご容赦願います。

スペースマウンテン当たりで流れてそうな、いかにもな音楽が流れた後、幕が上がる。
そこは飛行機の客室で、まばらに乗客が座っていた。
パッと見、上手の最前列に座るシゲさんに目が行く。
だって見た目が、ブラックジャックそのもの!

だけど、そこから一気に注目をさらう存在が現れる。
舞台中央から現れたのは、福島カツシゲさん演じる、オカマのCA!
これはかなりプレッシャーの役だと思うのですが、
それをものともしない自信とキャリア、さすがです!
すごく楽しんでるのがわかります。

乗客は川原亜矢子さん演じる富樫よねと、
六角慎司さん演じる富樫明夫の新婚夫婦。
小松彩夏さん演じる宅間典子。
そして、ビジュアルはもうブラックジャックそのものの、
シゲさん演じる黒田十一。
ブラックジャックになりたかったんだね、シゲさん。
だけど、黒田十一は外科医ではなく、歯医者だそうです。

そこに、いかにもアラブ系な感じの乗客が乗り込んでくる。
川井"J"竜輔さん演じる佐田武蔵。
名前のとおり、日本人です。
が、この時はまだ明かされないので、しっかり不安要素に。

そんな中、13時発予定の離陸が遅れている。
どうやらパイロットの到着が遅れているらしい。
その理由は目がテンになるものだったんですけど、
不安要素いっぱいなまま、どうにか離陸します。

機長は野仲イサオさん演じる早乙女青二斎。
そして副操縦士は蘭香レアさん演じる夜月ミチル。

宝塚出身の蘭香さん、もうとにかくカッコイイ!
登場していきなり社歌を歌うところなんか、まるで宝塚の1シーンを見てるみたい。
その後の立ち居振る舞い全てがキリッとしていて、
退団されてからも染みついている宝塚の基礎って、すごいなぁと思いました。
そんな夜月ミチルに惚れちゃう典子の気持ちもよくわかる!

怪しいフライトは宇宙まで巻き込んで、どんどん予測不能な展開に!
そこで登場したのが、加藤貴子さん演じる「ソ」という地球外生命体。
銀色でほとんど着ぐるみのようなブカブカの衣装を着て登場したのにはビックリ!
あまりにも突飛で不思議な生態で、シゲさんの大好きなSF要素が詰め込まれています。
「風穴(ふうけつ)」というのは、
いわゆるブラックホールとかワープみたいなものと考えたらいいのかな?
これが出てきちゃうともう、時間も空間も自由になって、どこへでも行けちゃうんですよね。

案の定、この舞台もあちこち飛び回って、ハチャメチャな展開になります。
ここで活かされたのが、典子の設定。
ずーっと大人しくしていたのですが、コスプレ好きだということがわかって、
要所要所で、場面に沿ったコスプレに着替えてくるのです。
時にメイドだったり、ナースだったり、戦士だったり。
しかもその外見に合わせて、性格も変わるという。
この役、引き出しがないとできないですよね!

ほとんどギャグなのですが、芝居的なストーリーとして、
富樫夫婦の物語もありました。
100%ギャグというのは、やっぱり観てて辛いのですよ。

川原亜矢子さんといえば、ロレアルパリのCMの印象が強かったのですが、
こういうお芝居するんだな~と新鮮でした。
相手役の六角さんは、今でこそ映像でもよく拝見しますが、さすがだな~と思います。

こんな濃ゆいメンバーで、本気でバカバカしいことをやると、
こんなに面白い作品になるんだな~と思いました。
コメディって難しいんですよね。
私も昔、お芝居の勉強をしていた頃、コメディの難しさを実感しました。
本気でバカにならないと、笑ってもらえる芝居は作れない。
シリアスものよりコメディの方が断然難しいと思います。
それはきっとテンションのあげ方なんでしょうね。

実はこの舞台は観に行ったのですが、1度観たくらいではついていけない展開でした(笑)
それだけ、普通じゃ思いつかないような発想が詰め込まれているんですね。
特典ディスクで加藤貴子さんもおっしゃってましたが、
あれだけのいろんなことを、シゲさんが札幌と東京を往復する飛行機の中で、
いつも妄想してるんだろうな~、と思いました。

そんなシゲさんの頭の中を見事に具現化した、
役者、演出、スタッフの皆様、本当にすごいです!!


特典ディスクでは、カンパニーの親睦を深めるために、
シゲさんが「機内食」と称して、皆様に料理を振る舞います。
この頃シゲさん料理し始めたばっかりだったんですね!
こだわりのシゲさんの料理、美味しそうでした!!



TEAM NACS SOLO PROJECT ライトフライト~帰りたい奴ら~ [DVD]

TEAM NACS SOLO PROJECT ライトフライト~帰りたい奴ら~ [DVD]

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • 発売日: 2010/02/24
  • メディア: DVD


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スポーツ

東京事変4枚目のアルバム。
テーマは「スポーツ」ということで、
演奏のダイナミズムとプレイの快楽を追求したアルバムとなっています。
ジャケットの金メダル、ブックレットには金メダルを首からかけたメンバーたちの写真など、
折しもオリンピックイヤーの今年に聴き直したくなりました。
五輪と同様、メンバーも5人だしね。

林檎ちゃんは、本作において、二つのルールを定めていたそうです。
一つは個人的なもので、「言葉で意図しない」ということ。
ギリギリまで歌詞は考えずに、それとの兼ね合いを全く無視してアレンジも構成、
仮歌をこなしていきました。
演奏の自然な流れや音の快楽を追求すれば、言葉は最後におのずと出てくるはずで、
それを感知しようとだけ考えていたとのこと。
まさに、「音楽家」としての究極で、根本的なものを体現するかたちですよね。

もう一つはバンド全体に課したルールで、
「やったことない」や「やりたくない」とは言わせないこと。
楽器も歌も、頭や意思でコントロールせずに、
体を通して、自然に「鳴ってしまった」「声が出てしまった」
というところまで到達したかったので、あらゆる可能性を試してみようとした。
なんというプロ意識!

そんな彼らは今年、再結成したので、これからの活動も楽しみです。


生きる
アルバム冒頭で5人の登場シーンの演出を、声やサウンドだけで見せる役割の曲。
ゴスペルのような1番は、林檎ちゃんのボーカルと伊澤さんの生歌の多重録音によるもの。
2番で突然バンドが登場する構成となっていて、まるで舞台の幕開けのように感じられました。

歌詞も本作のテーマの根幹に関わるもので、
「孤独」と「自由」が歌われています。

電波通信
電子音が多用されている楽曲。
ダンス・ミュージックのような太いビートの曲なのですが、実は生演奏なのです。
まるでメンバーの技量が試されているかのよう。

シーズンサヨナラ
シンプルな音でわかりやすいバンドサウンドなんですけど、
それでも巧みな技が随所に散りばめられている、油断ならない曲です。


勝ち戦
タイトルに反してスポーツを意識せず書かれた曲なのです。
林檎ちゃん曰く、簡単に誰でも作れて誰でも材料が想像できるという、
「居酒屋のお通しのような曲」で、各メンバーの個性や仕事が浮き彫りになる楽曲とのことです。
「居酒屋のお通し」とは、これまた面白い表現。

FOUL
林檎ちゃんの声に加工がされていて、
コンサートで披露する際は、林檎ちゃんは拡声器を使用して歌います。
浮雲さん曰く「殴り書きみたいな曲」、伊澤さん曰く「演奏を呼ぶ曲」。

雨天決行
伊澤さんが、林檎ちゃんが歌うことを意識して書いた、女性しか歌えない曲とのこと。
確かに、女性らしいメロディアスな林檎ちゃんの声が印象的です。

能動的三分間
主に打ち込みのグルーヴによって生み出されるファンクやヒップホップにも通じる、
ダンサブルなサウンドが特徴の音楽ジャンル、
ニュージャックスウィングの楽曲を楽器で生演奏したらどうなるかということに、
バンドで挑戦した楽曲です。

「ポップスのヒットチューンは3分」という黄金律で東京事変が曲を作れば、
こんなに格好よくなり、しかも売れるというユーモアをまじえたコンセプトに基づき、
楽曲制作はまず収録時間を3分間に決めることから始めました。
BPMは林檎ちゃんがいつも最初のセッティングをそうしてしまうという癖から120に決まり、
「BPM=120というテンポなら1小節2秒×90小節演奏するとちょうど3分間になる」
という計算で作られているのです。
収録時間やBPM以外にもテーマの多い曲で、
他にも「16分音符がシャッフルしていると速く、あるいは躍動して聴こえるか」
「ムーンウォークの練習をするための曲」などのいろんな理屈がありました。
確かにムーンウォークしたくなる。できないけど。
PVの中でメンバーもムーンウォークを披露しています。

林檎ちゃんのムーンウォーク構想のきっかけは、楽曲制作当時に亡くなった、
マイケル・ジャクソンの映像を見たこと。
林檎ちゃんもリアルタイムでマイケルを聴いてはいたけど、パフォーマンスの方はあまり見ていなくて、
そこで改めて映像を見直したところ、バンド内でブームとなったそうです。

作詞・作曲は林檎ちゃんが手掛け、編曲・プロデュースをバンドメンバー全員で行っています。
歌詞は英語詞と日本語詞が入り混じる構成。
サビ部分では浮雲さんと伊澤さんにより、コーラスが歌われています。

林檎ちゃんの中ではバンドが次のステップに進むための練習曲のような意味合いがあり、
自身を除く4人に演奏する際に出して欲しいノリを体得してもらうために作っていて、
そのノリについてはなかなか全員での共通認識を持ってもらえず、難航したようです。

そんな苦労も経て生まれた曲ですが、
聴き手側からしてみれば、今までとは違い、
難しいことを考えることなく、純粋にノリに委ねることができる、
聴きやすい曲、聴いて心地よい曲だと思いました。

絶体絶命
伊澤さんの曲に林檎ちゃんが手を入れた共作曲で、
歌モノとして成立させるために林檎ちゃんがBメロを加えたとのこと。
途中から林檎ちゃんの声がガラッと変わるんですよ。ものすごく振れ幅が広い!

FAIR
浮雲さんのストック曲で、前作でも候補曲に挙がっていたそうで、
林檎ちゃんが以前からやりたがっていた曲なんだそうです。
クラブミュージック的な要素があって、
今までは和製の曲調で聴いていたような林檎ちゃんの声も似合います。、

乗り気
伊澤さんが、「キーボーディストとして特にハードルが高い曲」として、この曲を挙げています。
理由は曲のアレンジが変わるのにあわせて、自身のプレイも現場でどんどん変えていき、
そこに必要であろうという新しいアプローチを取り入れてやれたから。
聴き手側としては、曲調がくるくる変わって面白いなぁと。

スイートスポット
伊澤さんと林檎ちゃんの共作曲。
伊澤さんがデモを林檎ちゃんに渡したところ、
それをモチーフに原曲とはまったく違うテイストの曲に仕上げられたそうで、
もとは伊澤さん曰く「アジアっぽい感じ」だったのが、
ブラックミュージック色の濃い曲となりました。
こういう曲調は今までなかったですね。

閃光少女
実は前作のアルバム「娯楽」制作時のセッション中に製作され、
そのリリース直後のライブツアーで新曲として発表された楽曲なのです。
「初めて曲に接する時は、正面から向き合って生で聴いて欲しい」という、
林檎ちゃんをはじめとするメンバーの希望から、発売前に生演奏で初披露する形がとられました。

この曲は、亀田さんが作曲し、それに林檎ちゃんが歌詞をつけたものです。
亀田さんは、真冬の夕暮れ時に見かけた、
ダウンジャケットを着てフードを被って天真爛漫に歩いている12,3歳の少女の現在と未来に思いを馳せ、
「この子の将来って、誰に出会って、どういう人生を送るんだろう?」
と心配になって忘れられなくなり、形に残すべく曲にしたと語っています。
だからそんな少女のイメージなんですね。
ただ、それほどまでの印象を残した少女って、どんな子だったのだろう?

極まる
タイトルは「きまる」と読みます。
6分越えの長編で、東京事変の全楽曲の中でもっとも演奏時間が長いのです。
孤独や絶望という意味では、1曲目の「活きる」とつながっていて、完璧なシンメトリーです。



スポーツ

スポーツ

  • アーティスト: 東京事変
  • 出版社/メーカー: EMI Records Japan
  • 発売日: 2010/02/24
  • メディア: CD


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星の大地に降る涙

今回は趣向を変えて(?)NACSではない舞台です。
音尾さんが出てるので、NACSも全く無関係ではないのですが…。
キッカケは、三浦春馬くんの初舞台とのことで、気になったのです。

地球ゴージャス、記念すべき10作品目の舞台。
地球ゴージャスとは、94年に岸谷五朗さん・寺脇康文さんの二人により結成された、演劇ユニットです。
これまでも数々の才能を迎えて、斬新なコラボレーションで世の中に新しい作品を提供してきました。
歌やダンスをふんだんに取り入れたエンタテインメント性の高いステージで、
私も地球ゴージャスの作品を観たのは初めてなんですけれども、
これほど見ごたえがあるステージだったとは!と、ひとり感動しておりました。

今でこそ2.5次元だとか、エンタメ重視の舞台はたくさんありますが、
その当時からこういう舞台を作っていて、時代の先駆者と言っていいと思います。


物語は、満点の星の中、三浦春馬くん扮する若者が空から降ってきます、
木村佳乃さん扮するステラという女性に必死に助けられるも、記憶をなくしていた。
そして、若者は「シャチ」と名付けられた。
シャチはその部族=タバラにとって、幸運をもたらす動物だから。
だけど本当に、幸運はもたらされるのか。

地球ゴージャスの反戦3部作のうちの第2章に位置付けられた作品です。
なので、ものすごく考えさせられる作品ではあるのですが。
でもそのエンタメ性のおかげで、重苦しくなり過ぎずに作品に入れるのです。

部族といえば、音楽。
音楽を愛する部族ってリアルに多いですけど、タバラも同じ。
ところどころにミュージカルパートがあるのですが、
出演者全員での合唱には毎度圧巻です。

歌だけじゃなくて、ダンスもスゴイ!
岸谷さんがあんなに踊れるとは存じませんでした。

そして、その岸谷さんに引けを取らない春馬くん。
本当に舞台初なんですか?っていうくらいキレッキレのダンスで。
そうかと思えば、記憶をなくした苦悩を表現する舞にも見入ってしまって、
この表現力の幅は、当時19歳だとは思えない!
きっとお芝居に真摯に向き合ってきた賜物なんでしょうね。

タバラのヒロイン、ステラを演じる木村佳乃さん。
愛情深く、人を癒す力があって、部族のためを思ってまとめていく。
柔らかさの中にある芯の強さというのが、彼女にピッタリです。
木村佳乃さんといえば、「さくらん」の時も思ったのですが、
かなり体を張った演技をする女優さんです。
今回もそうなのですが、出産のシーンはもう圧巻でした。
出産を舞台の上でこんな風に表現するなんて、目からウロコです。

TEAM NACSから音尾さん。
直前まであの下荒井の公演をしてからの、この舞台。
役者は体力勝負ですね。
NACS以外での音尾さんを初めて見たのですが、
今回はなかなか厳しい役どころだったのです。
NACSでもその貫禄で(?)、ピリッとした役を演じることはあるのですが、
今回はストイックさもあって、カッコイイ!
立ち回りのシーンではバク転が見られます。
そういえば音尾さんは新体操部出身でしたね!

そういう役回りなので、ギャグシーンが少な目なのですが、
唯一遊べるところがありました。
それは岸谷さん演じるトドを、うっかり馬扱いしてしまうところ。
そこで岸谷さんから逆襲に合うのです。
執拗なアドリブに、とうとう音尾さんがふき出す!

演出家であり役者でもある岸谷さん。
作品づくりという点においても、表現にしても、
本当に自由な発想でやっていらっしゃるのがわかります。
トドという役は、シャチと同じくタバラのもとに辿り着いた和人。
同じく記憶をなくしているのですが、苦悩するシャチとは対照的に、
わりと柔軟なキャラなので、遊びが利きます。
だからもう岸谷さんやりたい放題!演者としては楽しいだろうなぁ。

同じ境遇のシャチとはあまりに待遇が違ったり、自虐ネタが満載です。
台詞の途中での容赦ない暗転なんて、演出家を兼ねてるからこそのあうんの呼吸でしょう。
効果的な演出でした!

随所に出てくる岸谷さんと寺脇さんのコントシーン。
本当に仲が良くて、安心して絡んでる感があります。
おそらくほとんどアドリブなのだろうと思うのですが、
何やってもお互いがしっかり処理してくれる。
これぞまさに「相棒」です。←寺脇さんだけに。

ちなみに寺脇さんが演じるザージャは、寺脇さんらしさを活かしたゆるキャラ。
部族内では慕われる一方、奥さんのメリューからは尻に敷かれているという、
わかりやすいキャラです。
その設定があるからこそ、ラストが響くんですよね。
あまり詳細は書けませんが。

と、ここまでメインの役者さんのお話をしてきましたが、
他にもインパクトあるキャラが続々。
かかあ天下のメリューはもちろん、
若いのに長老とか、ステラの妹シーナ、トドに惹かれたアンジュリ。
愛する男を待つ女たち。頼りになる男たち。
独特な部族を構成するのに集まった、個性派の役者たち。
そんなメンバーで繰り広げる、エンタメ満載の豪華な舞台です。

エンタメ好きな私が一番好きなのは、クライマックスの演奏シーン。
ステラの笛、ザージャの太鼓、トドの三味線、そこにシャチの歌声。
みんなでセッションするシーンがあるのですが、そこには深い意味があって。
「タバラのリズムと和人の楽器が融合」したのです。
この迫力の演奏には圧巻!
そして岸谷さんの津軽三味線の腕前にも脱帽です。
岸谷さんは何でもできる芸達者さんですねぇ~。

最後は主題歌であるEXILEの「愛すべき未来へ」を、
シャチ演じる三浦春馬さんと、ステラ役の木村佳乃さんが熱唱します!
そこに出演者全員の合唱となっていくのですが、
振り向いた時の春馬くんの表情がもう何とも言えない良い表情をしていまして。
これ普通に舞台を観ていたら後ろ向きになってしまって見れないのですが、
DVDではきちんとその表情をおさえていてくれたのです。
よくぞ撮ってくれた!こういうところがDVDの良いところですよね。

見どころ満載のこの舞台、細かいところまで目が離せません!





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Where's My Potato?

CMやテレビでもよく耳にする「ワタリドリ」で有名になった[Alexandros]ですが、
当時のバンド名は[Champagne](シャンペイン)として活動していました。
改名後は、[Champagne]名義のアルバムも全て、[Alexandros]として再発売されていて、
さすがに私もこの頃の彼らのことはわかりません。
ただ、当時誰にも注目されなかった彼らが、今作リリーズ後には様々なメディアを巻き込み、
ネットや口コミでどんどん名が知れ渡り、様々なロックフェスへの参加も決まるなど、
耳ざとい音楽通の間では話題になっていて、
今作が彼らの転機となったアルバムであることは間違いありません。

彼らの特徴は、まるで洋楽のようなハイセンスな音楽性とリリック。
すでに今作から今に通じるセンスを感じさせるものがありまして、
衝動的にカッコよく、突き動かされるものがあります。
1曲目のインストのオープニングなんて、まるで映画のようだよ。

ちなみに、収録曲の歌詞は全て、ボーカル川上さんの実体験だそうです。
そんなことも踏まえつつ(?)、レビューしていきます。

She's Very
彼女に何度もアタックするんだけど、そのやり取りが生々しい。
特に彼女の台詞がリアル。
ほとんど英詞の中で、その台詞部分は日本語なので、
耳にインパクトを持って入ってくるんですよね。
結果、彼女を手に入れるのですが、それは果たして…?

For Freedom
夢追い人の気持ち、わかるー。
みんなが普通に暮らしてる中、じっと耐えて生きてるんだよね。
いつか手にする未来を信じて。
今はまだ小さな音だけど、それがそのうち金の延棒になるんだって。
そしてどんな言葉よりも、それで認められることが心地いいことも。
全部わかるわ~。

Untitled
こちらもスターになるのを目指している。
輝けることを信じている。
頭の中にあるものが、思い描いた通りになるかわからないけど、
とにかく、プランを考える。
たとえそれが絵空事だとしても。
立ち止まってるヒマなんてない。

I Don't Know(who you are)
これは一体どういう状況なのでしょう?
カッコ良く英詞で歌われてしまうので、
そんなこともどうでも良くなってしまったり。

Yeah Yeah Yeah
ルイジアナ帰りで、
本場(?)のロックンロールを教えてくれます。
全部英詞でよくわからなくても、とりあえず一緒に叫んで盛り上がれる。
レッスンのようです。

Da la la la
陽気な曲調に見えて、なかなか過激に毒づいてます。
確かに、上で留まっているよりは、底辺にいた方が、
案外どこにでも行けるって正論かもしれない。
変なプライドとか捨てちゃえばいいんだよね。
それぐらいじゃないと、本当にやりたいことなんて手に出来ない気がする。

Wet Paint
さんざんな週末模様が描かれていますが。
私も週末の過ごし方が上手じゃなくてね。
何もできなくて結局充実しなかったなぁってことがしょっちゅう。
平日仕事して、週末もキラキラして…ってなかなかねぇ。

Don't Fuck With Yoohei Kawakami
タイトルに実名が入ってますが、そういうのも珍しい(笑)
実に彼らしい発想かと。

de Maxico
この曲もカッコイイのですが、私にとって印象的だったのは、
「どん底行きや天国行きのチケットは皆持ってるけど、
自分になるためのチケットは持ってない」ってこと。
他の曲でもあったけど、「自分を貫くこと」「自分らしさ」っていうのが、
わりと根底に通じているんだと思うんです。
思うに「自分を貫く」って、周りがいて初めて成り立つことであって。
周りとは違う「自分」、そのユニークさを認められなきゃいけない。
洋平さんは十分ユニークで、スタイルを貫いてます。

かえりみち
最後にこんなアットホームな曲がくるとは!
洋平さんの頭の中に渦巻く激しい思想や音楽で駆け抜けてきたけど、
ここで現実に帰ってきたような感覚でした。



Where's My Potato?

Where's My Potato?

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: RX-RECORDS / UK.PROJECT
  • 発売日: 2010/01/20
  • メディア: CD


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15

SOPHIAデビュー15周年を記念して発売された、
初のセルフカバーアルバムです。
プロデューサーを招聘しての新たなアレンジなので、
既存曲ですが、新鮮な気持ちで聞くことができます。

また曲のチョイスがなかなかマニアックで。
多く知られているシングル曲もありますが、
アルバム曲がたくさん選曲されていまして、
初期の頃のアルバム曲なんて、ほんとに長いファンしか知らないのでは!?
その分、もはや新曲として聞けるかもしれないです(笑)


15

15

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルJ
  • 発売日: 2010/01/20
  • メディア: CD


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Every Best Single ~COMPLETE~

ELT初のオールタイムベストは、全シングル曲49曲+ボーナストラックの計50曲、
4枚組の大ボリューム!
1996年のデビューから、13年分の歴史が詰まっています。

曲順は時系列順になっていて、
五十嵐さん完全プロデュース時代から始まり、
五十嵐さんが脱退して、セルフプロデュースな期間を経て、
最後には五十嵐さんと再会を果たすのが、何とも感慨深いのです。

アルバム初収録となった曲は、
「あたらしい日々」「黄金の月」「DREAM GOES ON」「冷たい雨」

「あたらしい日々」はドラマ「シバトラ」の主題歌でした。
このドラマには藤木さんが出ていて、金髪姿が衝撃だったのですが、
めったに見られないワイルドな兄貴分な役柄も新鮮でした。

「黄金の月」はもっちーの作詞・作曲。
五十嵐さんプロデュース時代から考えると、いろんな経験した賜物だなって思います。

そして「DREAM GOES ON」と「冷たい雨」は、
再会を果たした五十嵐さんプロデュースの曲。
デビュー時と違うのは、もっちーが作詞した歌詞に、五十嵐さんが作曲してるところ。
サウンドには五十嵐さんのテイストが残っていて、懐かしさも味わえました。

ジャケットは「チェルシー キャンディー」のパッケージとのコラボ。
チェルシーは昔よく食べたなぁ。


Every Best Singles ‾Complete‾【通常盤】

Every Best Singles ‾Complete‾【通常盤】

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: エイベックス・エンタテインメント
  • 発売日: 2009/12/23
  • メディア: CD


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Past<Future

「全てを空にして新しいスタートを切りたい」という決意から、
「自らの作品を自ら打ち壊すことによって新しい作品を生み、新しい時代に突入する」
というコンセプトのもと制作されました。
前年リリースのベストアルバム『BEST FICTION』のビジュアルを自ら破るジャケットが、
衝撃的で話題になりました。
なので、アルバムタイトルには「過去よりも大きな未来」という意味が込められています。

このコンセプトからして既にカッコイイこの作品は、
最高にクールで、安室ちゃんの心意気を感じる1枚です。

DVDには、新曲4曲を含む6曲のミュージック・ビデオを収録しています。

FAST CAR
キャッチ―なイントロで始まるリード曲。
出だしからカッコよくて、いきなりかましてくれたなって感じです。
MVは、「ヴィダルサスーン」第3弾のキャンペーンテーマでもある
中世ブルジョワゴージャスの世界をモチーフに制作されました。
扇を使ったパフォーマンスにはうっとりします。

COPY THAT
自身出演のCM「プレミアム ヴィダルサスーン」のキャンペーンソングでした。
内容はまるでオフィスの場面が浮かんでしまうような、コミカルな歌詞。
安室ちゃんはまさにスーパーウーマンで、働く女性として憧れの存在です。

LOVE GAME
恋愛の駆け引きを、ボクシングの試合になぞらえた面白い曲。
いろんな作戦に、ボクシングの技がオーバーラップするのですが、
そのたとえが、どれをとってもお見事!です。
また、じっくりと試合を進めているような雰囲気の曲もカッコイイ。
そんな曲に合わせて、MVではクールなダンスバトルが見られます。

Bad Habit
ワールドワイドな楽曲提供・コラボを次々に実現させている
多国籍コンポーザー・プロデューサー集団「Phrased Differently」が制作。
海外も認める安室ちゃんだからこそこなせるパフォーマンスだと思います。

Steal my Night
クールに誘ってきます。
こんなカッコイイお姉さんなら、女の私でも参ってしまう(笑)

FIRST TIMER feat.DOMERMAN INC
DOBERMAN INCとのコラボレーションで、
クールな安室ちゃんとも相性バッチリ!
言葉遊びが面白いラップも聞きどころです。

WILD
楽曲プロデュースは、おなじみのT.Kura・michicoコンピに依頼。
「コカ・コーラ ゼロ」のキャンペーンテーマである「WILD HEALTH」と、
自身の考えていた方向性がマッチし、そのイメージから制作されました。
裏テーマは「少子化対策」なんだそうです。
なかなか言いづらいことも、カッコよく歌ってくれています。
MVはブラックに統一された、SFの世界です。

Dr.
「プレミアム ヴィダルサスーン」のキャンペーンとのタイアップ曲。
バレエ音楽「ボレロ」を素材にしたオペラパートや、
エレクトロ、テクノ、R&Bなどをミクスチャーした曲。
クルクルと曲調が変わるのが表情豊かで、演劇のようです。
楽曲プロデュースは、おなじみのNao'ymtさん。
CMのテーマである「ブルジョワ・ゴージャス」に沿い、
安室ちゃん自身の提案によりオペラパートが導入されました。
タイトルや曲の世界観は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』からヒントを得ています。

MVは自身初となるフルアニメーションになっていて、
「時空を超えて世界平和のメッセージを伝える」というストーリーのSF作品になっています。

Shut Up
ロックと融合した、超絶カッコイイ曲です!
もう何も見えないくらい、圧倒的にカッコイイ。
こんな風に自分を通して生きてみたい!

MY LOVE
こちらも「プレミアム ヴィダルサスーン」のキャンペーンソング。
クールさとは打って変わって、安室ちゃんのスイートな声も魅力的。
LOVEがいっぱいの楽曲。

The Meaning Of Us
久々のバラード曲。
透き通るようなピアノとR&B仕込みの歌唱力の見事な融合。
安室ちゃんならではのバラードで、つい聞き惚れてしまいます。
MVではベッドに腰かけて歌ったり、比較的にナチュラルな安室ちゃんがキュートです。

Defend Love
「Dr.」の続編ソング。
「Dr.」の最後が「To be continued...」で終わってたので、その続き。
曲中に「Please save us Dr.」というフレーズも出てきます。

「守るべき愛(世界)」をテーマに制作された楽曲。
重いテーマを、確固たる強い意志を込めて歌います。
難しい単語が多く、ちょっと固めの歌詞なのですが、
その分一つ一つのワードが響くのです。
終盤、ガラッと曲調が変わるところが必聴!

フルアニメーションで制作されたMVでは、
「機動戦士ガンダム」とのコラボが実現!
アムロ・レイと安室ちゃんが共演してます!!


PAST<FUTURE

PAST<FUTURE

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: avex trax
  • 発売日: 2009/12/16
  • メディア: CD


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ALL SINGLES BEST ~THANX 10th ANNIVERSARY~

10周年記念作品のひとつで、過去にリリースしたシングル31作に、
両A面シングル曲5曲をすべて収録した初のコンプリートベストであり、
かつ公認オールタイム・ベストアルバムなのです。
大ボリュームの3枚組!!
全曲にクリアな低音のデジタル・リマスタリング音源が施されており、音質が向上しています。

アルバム初収録となったシングル曲は、「STORY」「SUMMER LIGHT」「MAGIC」
「MAGIC」は最後となる「名探偵コナン」とのタイアップでした。
そしてボーナストラックとして新曲の「GIFT」も収録。



ALL SINGLES BEST~THANX 10th ANNIVERSARY~

ALL SINGLES BEST~THANX 10th ANNIVERSARY~

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: GIZA
  • 発売日: 2009/12/16
  • メディア: CD


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下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。

大泉さん初の脚本・演出の作品で、いつもとはちょっと違うテイストの舞台です。
全64公演、動員数53,000人で、私もその中の一人です。
私が言うのも何ですけど、あの過密スケジュールの中、よく書き上げたなぁ~、と。
タイトルだけ最初に決まり、中身は何もない状態から始まりました。

今回いつもと違って特筆すべきは、その作り方。
ある程度完成した台本を持ってきてブラッシュアップするのではなく、
「台本打ち合わせ」と呼ばれるミーティングをして、
メンバー間でアイディアを出し合って作り上げていくというもの。
メンバーそれぞれがソロとしても活動しているので、
そのみんなのアイディアが集まれば、それは良いものが作れることでしょう!

タイトルが指し示す通り、NACS5人が演じる、5人兄弟の物語。
大泉さんは、ファンが何を見たいか、ファンが自分達に何を求めているかを考えたときに、
5人の独特の結束というか、妙に仲の良い人間関係だということにたどりつき、
5人が兄弟だったら…という発想に至ったそうです。
そうなんですよ、彼らの不思議な関係が、いつ見ても何だか面白いんですよね。
ベッタリ仲良しというわけではなく、言い合ったりもするんだけど、結局一緒にいる。
この5兄弟は、NACSにしか演じられないものだと思いました。

その配役がこちら。
長男・大造(たいぞう)=森崎さん
次男・大洋(たいよう)=音尾さん
三男・剛助(ごうすけ)=安田さん
四男・健二(けんじ)=大泉さん
五男・修一(しゅういち)=シゲさん

いつもの通し番号と順番が違う!?と思うのですが、
一番年下のはずの音尾さんの貫禄だったり、頼りないシゲさんだったり、
これがしっくりくる並びなんですよ。

物語は「家族とは…」という長文のスクロール投影から始まります。
どういう話なのか想像を膨らませながら幕があがるのを待っていると、
いきなり全裸の安田さんの後ろ姿!
今までこんな完璧な全裸で舞台に登場した役者を見たことがない!
そしてすぐ服を着るのかと思いきや、そうでもなく、そのまま芝居が始まっていきます。
途中ヒヤッとするような動きもあるのですが、
今思うと、アキラ100%が出てくる何年も前に、裸芸を極めていたんだな~、と。
さすが安田さん!DVDだとよく見える背中やお尻がキレイです(笑)

リラックス感満載の始まりですが、状況としては亡き父親の「10年祭」が終わった後。
いわゆる法事が終わった後、家で家族でゆったりする、というシーンです。
「10年祭」というのは、神道での言い方のようですね。
私も神道の式に出たことがないので、なじみがないのですが、
大泉家の宗教が神道だそうで、かなり独特の形式のようです。
NACSメンバーが驚いたのは実話。

今回、大泉さんが脚本・演出をする中でこだわったのが「ナチュラル」。
いつものリーダーがつくるお芝居だと、派手な音楽があって、派手な見せ場があって、
これぞ舞台!というか、舞台映えがするお芝居なのです。
が、今回はいつもと違うことがしたい。
ということで、ホームドラマに近いような作品になっていて、
なるべく普通のお芝居をして、会話をちゃんと見せれる作品に仕上がっています。
かといってドラマをそのまま舞台でやっても何なので、舞台ならではの仕掛けもあったりするのですが、
ただ、楽しい掛け合いでリアルなお芝居を舞台で見せる、というのはなかなか高度なのですよ。
舞台だと通常、非現実な演出によって助けられる場面もあるのですが、今回はそうではなくリアル。
舞台という、そもそもが異空間での「リアル」って難しいのです。

そのリアルさの表現に一役買っているのが、舞台セット。
下荒井家を切り取って、断面的に部屋の中から見ていると言えばいいのかな。
間取りがまた絶妙で図を書きたいくらいですが。
メインとなるのが下手側半部を占めるリビング。
役者は中央にある扉から出入りします。
リビングの一番下手からはキッチンへと続くはけ口があります。
そして中央の扉にあるのは、何とお風呂!
このお風呂も活躍します。
それから何と言っても目を引くのは、上手側の小上がりになった和室と、その上の2階部屋。
この2階の部屋は、引きこもりの健二の部屋になっていて、
主に大泉さんが階段を上がったり下がったりしてきます。
和室には大事な大事なお父様の祭壇もありますよ。
詳細は特典DVDで、シゲさんが詳しく説明してくれているので、そちらを是非。
よーく見るとペルシャ絨毯っぽいけどそうじゃない絨毯とか、
私の祖父母の家にもあったな~って、懐かしくなりました。
今の時代の話ではあるんだけど、あえてNACSメンバーが生きてきた時代を感じるセットで、
彼らの実家だったり、つまりは原風景ってことですよね。
このノスタルジーがまたいい味出してくれるのです。

オレンジのソファーが印象的なリビングでのやり取りは、
メンバーのいるもよりナチュラルを心がけた芝居のおかげもあって、
本当にホームドラマを見てるような気分になりました。
かといって退屈でないのは、抑えた芝居の中でも織り込まれる絶妙なギャグだったり、
次々とくるドタバタな展開だったり、
和室スペースまでを使ったアクションシーン(?)だったりと、
ナチュラルと脚色が、絶妙なバランスだったんだと思います。

さて、物語は5人兄弟だけで進むのではなく、他にも登場人物がいます。
それも女性!
NACSファンにはおなじみの、女装メンバーが登場します。
今回は多くて、シゲさん、音尾さん、リーダーが女装します。
「ナチュラル」を心がけているのは女性キャラもそうで、
どの女性も「いそうだな」と思ったのです。
まぁ、リーダーはちょっと出オチ感はありましたが(笑)
後から言われて気がついたのですが、今回の女装では、全員メイクをしていないんです。
男性の場合、アイラインや口紅を塗ってしまうと、その途端に「オカマ」に見えると。
確かにそうかも!
そこでメイクはせずに、こだわったのはウィッグでした。
ウィッグだけでこんなにキレイ変わるんですね!!
それから、シゲさんのスラリと伸びた脚にも注目で、悔しいほどレギンスがよく似合います。

見た目だけでなく、女性らしい仕草にも注目。全く不自然じゃないんですよね。
シゲさんみたいな、夫を尻に敷くタイプの妻、いるいる!!
音尾さんの世間知らずなお嬢様も意外に似合っていました。
これはこれでいそう!
マリリン・モンローみたいにスカートがめくれ上がるシーンは名シーンです。
キレイにめくれるように、スカートの素材などこだわったようですよ。
リーダーの女装についてはあえて語りません。

それから、女装とおなじく名物?の、メンバー同士のキスシーン。
今回はシゲさんと音尾さんでした。


物語は実は2部構成のような感じになっています。
前半は、長男・大造が勘違いで失恋する話。
これは健二の些細なイタズラなんですけどね、ここまで切ない結果になるとは…!
見てて辛くなりました。
成就するわけないのが、観客にはわかっちゃいますからね。
しかもそれが結構長い!
健二の「殴ってくれ」には、演出かとしての罪悪感も込められていたのでしょうか。

勘違いした大造の衣装は、COMPOSERでリーダーが演じたサリエリにしか見えない!
あの時はみんながこんな重厚な衣装を着ていて普通だったんだけど、
舞台が変わるとものすごい違和感なのですが、
それがまた舞い上がり過ぎたテンションを絶妙に表現してて面白いですね。
このあたりのシーンは、シゲさんの言葉を借りるなら、「芸もしない大型犬」。
このたとえ、よくわかる気がします。
バカかわいらしさというか、空回りしてる感じがすごくわかりやすいのです。
だからこそ、よけいに哀れに思えちゃうんでしょうね。


そして後半は音信不通だった次男の大洋が帰ってくる話。
その音尾さんが演じるヤクザな大洋の初登場シーン、
「アロ~ハ~」という挨拶なのですが、ものすごい貫禄とインパクトでした!
あれはもう、一種の歌舞伎ですね(笑)
そして直前まで演じていた女役からの変わりよう!
同じ役者とは思えないです。すごいなぁ。

この切り替わりのところでは、早替えの荒らしですよね。
女装⇒男装だったり、結構衣装のアイテムが多いので、
裏では大変だろうなぁと思いつつ、さすがプロ!と余計なところに思考が働いてしまう。

絶妙なところで物語に関わったり離れたりするのが、健二。
引きこもりという役どころがうまい具合に行ったなぁと思うのですが、
彼は2階の部屋で何をやっているかというと、盗聴。
家中のあちこちに盗聴器を仕掛けたり、あらゆる手段で盗聴するプロ。
健二お守りなんていうポータブル型のアイテムもありまして、
これグッズ化されてたら買ったな。もちろん盗聴器は仕込まれてないですが。
この盗聴が、後の展開にとても重要で、盗聴も役立つんだなぁと誤解してしまうくらい。
盗聴で感動させられることができる人は、そうそういないんじゃないでしょうか。
題名こそ「健二最初の盗聴」とされている盗聴テープも、
実は間違って録音ボタンを押しちゃっただけのかわいいエピソードだったりします。

2階の健二には重大な仕掛けがあって、何と床が抜けるのです!
落ちるのは音尾さんなのですが、こういう落ちる演出を大泉さんは昔からやってみたかったそうです。
満を持しての仕掛けは、伝説のシーンになりました!
このあたりのシーンはかなりカオスで、ドタバタ劇ならでは。
面白い裏話として、音尾さんが床から落ちる時に、
階下の和室に畳んで置いてある布団がマットの役割をするのですが、
このシーンに至るまでに安田さんがこまめに布団の位置を調整しているのです。
結構この和室に一番よくいて、和室の主と化してるのは安田さんだと思います。
個人的には、そそくさと布団敷いて寝ちゃうシーンが好きなんですけどね。

芝居は段取りと演技の狭間で、役以外にもいろんなことを考えなきゃいけないんです。
その点、舞台は何度も練習してできるから良いんですよね。

演出上、6人目を登場させなきゃいけない事態になるのです。
もしかしてこれが、このお芝居の最大のピンチか!?と思ったのですが、
驚くべき方法で切り抜ける!
こういうアイディアも、稽古を重ねていて生まれたアイディアなんでしょうね。
そういうアイディアが至るところに散りばめられています。

話がちょっとそれましたが、安田さん演じる剛助という人も大変な人で、
なかなか大変な役だと思います。
慌てる安田さんの変なステップとか、揉み合いの場面で畳で滑って転んだのはガチだと思うけど、
テンパった時の安田さんの動きは、ずっと見ていられますね。
ここで、そういえば全員靴下なんだなってことに気付きました。
家の中でのお話だから、当たり前なんですけどね。

いろんな事情を抱えた兄弟5人が揃った時、やっぱりこの5人はいいなぁ~って思いましたね。
それを効果的に演出するのが「パトランプ」。
ドタバタの末、引きこもりの健二が立てこもり犯に見られるのですが、
この時に2階部屋から外を覗く大泉さんの悪い顔と言ったら!
ここでもこの2階部屋が効果的に働きます。
で、警察に包囲された体でパトランプがチカチカするのですが、
まるでサスペンスドラマのような状況なんだけど、
逆に家の中では5人が結束している、っていう。
こんな状況だけど、やっと5人が揃ったんですよね。

良いシーンといえば、今回もあります、お歌のシーン。
ここでやっと、下荒井家の家業がギター教室だということが活きてきます。
音尾さんがギターを弾いて、大泉さんとシゲさんが歌うのですが。
かつてシゲさんと「FAN TAN」というユニットを組んでいたことがあり、その再来ですね!
演出上、いいところで演奏中断になってしまうのですが、
特典DVDではフルコーラスで聞けますよ。

チラシを見た時は正直、どういう話なのか想像つかず、
タイトルからして何となくホームドラマなのかな、って思ってたのですが、
いざ見てみると、チラシのような恰好をした人は一人も出てこなくて(笑)
本当にタイトル以外何もないところから始まって、台本も未完成なまま稽古が始まって、
稽古をしながら作り上げていき、本番ギリギリでカタチになったものだと実感。
結果、アットホームでわかりやすい、大泉さんらしい作品になったかな、と思いました。
ちなみに、劇中で集合写真を撮る時、実はチラシの並びになっているのです。
チラシを見たお客さん用にって、何て細やかな配慮なんだか。


特典DVDには毎度おなじみのメイキング映像と、
公演終了後のお花見パーティーの様子が収められています。
お花見の場所は北海道の円山公園。
撮影時期はまだ桜は咲いてなかったのですが、
GWなんかはさぞかし綺麗なのでしょう。
そして北海道でのお花見だとジンギスカンパーティー、通称「ジンパ」が定番なんだそうですね。
「リードヴォー」という、子羊の頃にしか取れなくて、胸腺と膵臓の肉は初めて聞きました。
北海道民はやっぱり、臭みがあるマトンを食べるんですね!、
チラシに使われているクラシックカー、通称「下荒井号」も走りますよ。



下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。 [DVD]

下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。 [DVD]

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • メディア: DVD


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フィッシュストーリー

表題作を含む、中篇集。
今までの作品に登場したあのキャラ達が続々登場します。


動物園のエンジン

ある10年前の回想の話。
主人公の名前はわからないですが、大学の先輩だという、
「河原崎」という男性と一緒に夜の動物園に行った時の話。
「河原崎」という名前には聞き覚えがあり、ラッシュライフにも登場していました。
新興宗教団体の信者で、バラバラ殺人に加担してしまったのですが、
その人とはあまりに性格が違う。
読み進めていくと河原崎先輩は、後に自殺することになる。
そういえば、「ラッシュライフ」の河原崎青年の父親は自殺している。
とすると、今作の河原崎先輩は、「ラッシュライフ」の青年の、
お父さんなのかもしれません。
そうそう被る苗字じゃないしね。

いきなり脱線してしまいましたが…。
灯りの消えた動物園で、動物たちの気配を感じる。
今でこそ「夜の動物園」に入る企画があったりしますが、
やっぱり普段見られない夜の動物たちの姿って興味ありますよね。
今作では恩田という、主人公の大学の同級生であり、動物園職員でもある男のおかげで、
入場することができた。

その夜の動物園で、男が一人、うつ伏せで倒れていた。
男は永沢という元職員で、恩田の先輩にあたるのだが、今は無職らしい。
この動物園では二年ほど前に、シンリンオオカミがいなくなった事件があった。
その責任を感じて、永沢は職員を辞めた。
それからの永沢はノイローゼになったようで、妻とも離婚してしまった。

永沢は動物園が大好きだった。
『動物園に行こう。休日をライオンと』なんていうビラを作ったりしたそうだが、
個人的にこのフレーズ、いいなって思います。
永沢が動物園を辞めて、寂しいと思ったのは動物たちも同じ。
永沢が動物園にいた時から、永沢が夜勤でいると明らかに違っていて、
動物園全体にエンジンがかかった感じになるのだと。
いわば「動物園のエンジン」!

その翌日も、恩田に頼んで夜の動物園に行ってみる。
「エンジン」と言われる永沢がいなくなると、動物園の雰囲気が変わるという。
それが見たくなったのだ。
朝7時になって、永沢は動物園の敷地から出て行った。
すると確かに、「エンジンが切れた」。

その翌日も夜の動物園に3人は集まったのだが、
その日の朝方、一度別れた後、河原崎は永沢の後を追っていたらしい。
すると、マンションの建設予定地へ行き、建設反対運動をしてるグループに混ざって、
プラカードを持って立っていた。
ここから推理ゲームが始まる。
何のためにやっているのか。
その答えは読んでみてのお楽しみにしますが、
それにしてもこの永沢という男は一体いつ寝てるのだろう?
動物園のエンジンになれるくらい慕われるのはうらやましいことですが。

ところで、久し振りに「オーデュボンの祈り」の伊藤が登場します。
主人公や恩田とは、大学時代の共通の友人なんだとか。
ソフトウェア会社を辞めてコンビニ強盗をやって逮捕されて、逮捕後に逃走までして…
というのは知られていたけど、さすがに奇妙な島に行ったことは知られてないのでしょう。
その伊藤に電話で推理ゲームに参加してもらうというのが、
昔からの読者には憎らしい演出。


サクリファイス

こちらは「ラッシュライフ」で人気の黒澤が主人公。
探偵と泥棒、2つの顔を持つ黒澤ですが、今回は「探偵」としてのお仕事だそうです。

依頼内容は、山田という男を捜すこと。
仙台市内に住む、53歳の男性で、2週間前から行方が分からなくなっているらしい。
依頼してきた男の印象から、山田も礼儀正しい生業で生活をしている男だとは思えなかった。

そうして黒澤がたどり着いたのが「小暮村」。
これにもしっかり裏があります。
黒澤は依頼を受けた後、本業(?)で使うための技術を発揮し、
山田の住むマンションに忍び込んだ。
すると、部屋の隅に残っていた古いPCを見つけ、興味深い情報を入手する。
それが、インターネットを閲覧した履歴情報で、
半月ほど前に「小暮村」という名前を検索した形跡だった。

かくしてたどり着いた小暮村は、古い風習にとらわれた、小さな村だった。
最初に出会った「第一村人」が、柿本という自称彫刻家の男。
60歳を過ぎても、自分の未来にまだ期待を持っているあたり、
いいキャラだな~と思ってしまいました。

そんな柿本から、村にまつわる重要なキーワードを教えられる。
新参者にもわかる、これだけおさえておけば、「小暮村」についての知識はバッチリ。
それが、村のキーパーソンは、村長の盤陽一郎と、大工の周造。
そして、村の重要な風習が「こもり様」。

「こもり様」というのは江戸時代から続く、この集落の風習。
当時は山賊が出て、通行人を襲っては荷物を奪って、
時には村にもやってきたらしい。
女が襲われたり、田圃が荒らされたり、大変だったそうな。
その時の村長が、いけにえを捧げる夢を見て、それを提案した。
山賊の被害に困り果てた村人は、その生贄案に賛成した。
ひとりの女が生贄に選ばれ、洞窟に入った。
洞窟の外に岩を置いて、閉じ込めた。
村人たちは逃げるようにその場を去って、しばらく岩壁には近づかなかった。
やがて女は死んだ。
生贄としての立場をまっとうした女は、村中で祭りが行われて、埋葬された。
以来、山賊はぱったり現れなくなった。

それ以降、この村では、困ったことがあれば、生贄をこもらせることになった。
では、その生贄はどうやって選ばれるのか。その選び方がまた独特。
まず、集落の住人が、集会所に集まる。
そこで、円陣を作るように座る。
そして、大きく長い数珠を全員で握って、
その数珠をみんなでつかんで、歌に合わせて、時計回りに回していく。
数珠には1箇所だけ大きな珠がついていて、
歌い終わった時にその部分を持っていた者が、「こもり様」となる。
まさに「かごめかごめ」の世界。
ただし、歌う回数が1回だと、毎回円陣の同じ場所が当たりになるのがわかってしまうから、
歌う回数は、村長がサイコロを振って決める。

昔はこれで本当に運命が決まってしまうのだから、さぞかし恐怖だったに違いないでしょう。
今は形式こそ同じものの、実際に死ぬわけではない。
今のこもり様は、岩壁の洞窟に、5日とか10日とか、決められた間だけ閉じこもっていればいい。
その日数もサイコロを振って決める。
出口は塞がれるが、「用意様」と言って、食事を運ぶ係がいる。
たいていはこもり様の家族が務めるが、いなければこもり様本人が指名する。
人は出入りできないが、小さなお盆くらいなら入る穴があって、そこから飯を運ぶ。
もしこもり様の具合が悪そうなら、用意様が村長に伝えるという仕組み。

このこもり様は決して定例行事というわけでなく、
現村長の陽一郎が時期を決める。
陽一郎は冷徹ではあるが、悪い人ではないらしい。
村をまとめるのに必死なのだと。
代々、この集落を仕切ってきたのが盤家であって、陽一郎も20歳の頃から家を継いでいたらしい。
昔と違って、村長は選挙で選ばれるようになったものの、
実際選ばれるのは、盤家の人間だった。
こんな小さな村でも、維持していくのは大変だのだろう。

今まさに周造がこもり様をやっている。
もう1週間になるらしい。
周造は陽一郎とは正反対で親身になってくれるタイプなのだが、
こもり様の時は山に近づいてはいけないことになっているので、会うことができないのだそう。

村の風習に従い、今回の周造にも用意様がついている。
周造は昔、恋人と死に別れたとかで、独身を貫いているので家族はいない。
それで、隣の唄子という90歳を過ぎたお婆さんが務めている。
黒澤はその唄子に会うことにした。

90歳過ぎには見えないほどしっかりしている唄子からも、村についてのいろんな情報が聞けた。
唄子おばあちゃんのバリバリの方言がカワイイ!
唄子はこもり様は最初から、村長の何らかの企みじゃないかと考えているようだ。

風習というものについての柿本の見解が見事だな、と思ったのですが、
風習というのは何かを隠すために、それらしい理屈をこじつけるのだと。
何かというのは、恐怖とか罪悪感とか、欲望とか。
そういうのをごまかすために、風習とか言い伝えとかができるのだという、
この考え方には、なるほど~っと思いました。

ところで、柿本の妻が気付いたことだが、周造がこもり様になることが多いらしい。
陽一郎と周造は、一人の女を巡って、30年前から仲違いしている、とも噂される。
こもり様はサイコロで決めているので、偶然のはずなのだが、果たして…?

他にも、「文吉事件」という奇妙な事件もあって、
それはこもり様をしていた文吉が、洞窟の中で妙な死に方をしていたというのですが、
そもそも黒澤の仕事は山田を捜すことであって、村の風習に首を突っ込むことではないんですよね。
私もこれ以上のことは、ここでは書かないようにします。

ただ、村の在り方を通して、もうひとつ学んだことがありました。
小さい村には小さい村なりの「宇宙がある」。
共同体をまとめるには、権威だけでは駄目。
統治する人間は嫌われ、恐れられ、人々を牽引していかなければならない。
そのかわり、個人個人の恐怖や不安、不満を受け止める人間も必要。
うまく従えるには、その両方のバランスを取る必要がある。
これは集団をまとめる時の基本ではないか、と。
厳しさと優しさの両方のバランスを取る。
一人の権力者でうまくできれば良いが、できなければ二人に分けても良い。

さて、いろんなことを教えてくれた柿本は、5歳年上の妻・花江と二人暮らし。
仙台で市役所に勤めていた柿本は、9年前に突然辞めて、
「俺は芸術家になる」と、この村に引っ越してきたという。
還暦も過ぎて、大変な決断だったと思う。
ただ、花江には楽じゃないことはわかっていて、そんなことよりも、
人生のうちで一度くらい花を咲かせたい、といったところかな。
それを聞いた黒澤が、かつて遭遇した老夫婦のことを思い出していた。
「ラッシュライフ」で出くわした老夫婦強盗。
この二人も「今まで真面目に生きてきたから、羽目を外そうと思った」と。
方向性は違うものの、「喝采を叫びたい」という意味では、同じなのかも。

そしてその柿本の木彫作品が奇跡を起こす。
そこで登場したのが、黒澤の学生時代の友人で、銀座の画廊で働いている佐々岡。
名前こそ出なかったものの、「ラッシュライフ」を読んだ人ならわかる人物です。
そういうところがニクイよね。


フィッシュストーリー

伊坂さんお得意の(?)、時間設定が飛ぶ構成。
あるひとつのことを軸に、タイムトリップします。
『僕の孤独が魚だとしたら』という冒頭で始まる小説と、
それを歌詞に引用した、とあるロックバンドの曲。
これらが共通で、別の時間軸の話を繋いでいきます。

まずは20数年前の話から。
雅史は自宅から片道1時間ほどの距離にある実家の帰り道で、ハンドルを握っていた。
70歳の父から突然呼び出された帰りだった。
理屈っぽい性格で、幼少の頃から正義感のある子だった雅史は未だ独身で、
27歳を過ぎた頃あたりから、両親は結婚の話を持ち出すようになった。
田舎の両親によくあるがちなパターン。

その小説のことを思い出したのは、大学時代の同級生と会った時のこと。
文学部出身の二人は、学生時代の課題でその本を読んだのだ。
友人に、その小説を引用したロックバンドのことを教えてもらった。
既に解散したバンドで、最後のアルバムに収録されている曲なのだが、
小説の文章を引用しているのもさることながら、
演奏途中で、音が切れるのが一部で話題になった。
間奏が急に途切れて、1分くらいしてからまた曲がはじまる。
レコードのジャケットには『製作者の意図によるものです』と但し書きはあるものの、
一部ではその無音の部分について、憶測が飛んだ。
そんな不自然な途切れ方だったら、さすがに私も気になると思う。

数日後、雅史は休憩時間にレコード屋へ行き、例のバンドのレコードを購入した。
それをカセットテープに録音し、カーステレオで再生する。
レコードとかカセットテープというのが、時代を感じますねぇ。
窓を開け放ち、大きな音を響かせて、湾曲した山道を運転していると、
何曲目かで、例の引用フレーズが聴こえてきた。
そして、唐突に大音量が止まった。これがあの「間奏中の無音」。
その時、どこからか高い女性の声が耳に入ってきた。
それは短く上げた悲鳴のようなもの。
持ち前の正義感のもとに、車を停めて、周囲を探してみることにした。

それから20数年後の現在。
麻美はエコノミークラスの座席で、例の文庫本を読んでいた。
家を出てくる時に、父の書斎から引き抜いてきた1冊だった。

すると、隣の席に座った男から声をかけられた。
男の名は瀬川。
彼はこの本が好きなのだという。
高校の教師になって2年目だという彼は、
体格の良さとは裏腹に、教えている科目は数学だった。

とある東南アジアの国からの帰り道。
瀬川は旅行で、麻美は仕事での帰りだった。
麻美はエンジニアで、その国で勉強会があった。
麻美は来月、その島の教会で結婚式を挙げる予定で、
麻美と瀬川の間に恋心が芽生える展開ではないのだが、会話は弾んだ。

瀬川は本当は正義の味方になりたかったらしい。
というより、そうなるべく育てられたのだとか。
それは、あの正義感の強い父親だからこそ。
中島敦の小説『弟子』から引用していますが、
「どうして悪が栄えて、正義が虐げられるのか」とは、
伊坂作品の根底に、ずーっとあり続けるテーマだと思います。
瀬川の父曰く、大事なのは職業や肩書きではなくて、
強い肉体と、動じない心、それを身につける準備こそが必要だ、と。
そのブレない精神が、何だかカッコイイです。

注目すべきは、瀬川のさらに右隣に座った老夫婦。
お金が少し貯まったので、今生の思い出に海外旅行に行ったという夫婦。
「悪いことをして貯めたお金」というので、伊坂読者のアンテナが反応するのです。
極めつけは、その後の台詞で「人生の充実」という言葉が出てくるところ。
「ラッシュライフ」で黒澤を襲った、あの老夫婦強盗に違いない!
その前の「サクリファイス」で、黒澤が老夫婦強盗の回想をするシーンがあって、
それもまた絶妙なキッカケになってると思います。
というか、それが無かったら、きっと思い浮かばなかったと思う。

さて、物語はなんとハイジャックに遭遇します!
でも結末は言わずもがな、かな。

時は再び遡って30数年前。
冒頭での雅史のエピソードから10数年前。
とある4人組ロックメンバーがレコーディングスタジオを後にし、駅へと向かっていた。
メンバーは最年長のリーダーでベースの繁樹、ギターの亮二、ボーカルの五郎、ドラムの鉄夫。

キャバレーで演奏していた彼らに声をかけてプロデビューさせたのは、マネージャーの岡崎。
しかし、彼が扱うバンドはことごとく売れない。
ただ、音楽の趣味が合うようで、彼らの敬愛するミュージシャンのことをよく理解しており、
その中には「ジャック・クリスピン」の名前もあった。
これまた伊坂作品読者にはおなじみの架空バンド。
「グラスホッパー」で岩西が歌詞をやたらに引用していたバンドです。
知名度が低く、レコードが手に入りにくいということになっていますが、
こうなると本当にいるんじゃないか、って気になってきますよね。

解散間近のバンドは、ラストアルバムの制作に入っていた。
収録曲全10曲中、9曲は録り終えていて、
残りの1曲は繁樹が歌詞を書き終えたら録音できる状況だった。
ただ彼らの音楽は理解されず、プロデューサーの谷との折り合いも良くなかった。

翌日、繁樹は電車の中で、例の文庫本を読んでいた。
2年ほど前に買ったまま、書棚に差していた本だった。
家を出る時にたまたま目に入ったので、鞄に入れてきたのだった。
ここでその本の内容がちょっと明らかになる。
朴訥とした主人公が、「俺は世界に見捨てられたわけじゃない」と強がり、
成長していく姿に引き込まれ、気づくとメモ帳に文章を抜き書きしていた、と。
こういうのが、作詞に影響していくのね。
そして、この文章をメロディに乗せて歌ってみてはどうか、と提案する。

こうして、最後の渾身の1曲を、例の文庫本を引用した歌詞で、一発録りでレコーディングした。
演奏はすごくいいものだったが、間奏で五郎が謎の独り言を言う。
これが例の曲の制作秘話です。
バンドの魂の叫びというか、生き様というか、不格好でもカッコイイと思いました。

ところで、英語で『fish story』とは、「ほら話」という意味らしいですよ。
この本のタイトルでもあるんですけど、やられた~って思いました。

そして話は「現在から10年後」に繋がります。
巧妙な時間トリックが絶妙な伏線になって、やがて全てが繋がる瞬間を、
ぜひ体感してほしいです。


ポテチ

今村と大西、ちょっと変わった同棲カップルの話。
どっちも苗字なので、最初はどちらが彼氏でどちらが彼女なのか判然としないのですが、
今村こと今村忠司が彼氏で、大西こと大西若葉が彼女です。

今村は実は空き巣。
冒頭で、マンションの1室で漫画を読んでくつろいでるようなシーンかと思いきや、
実はそれが他人の家で、空き巣に入っていたというからビックリです。

不思議なカップルの馴れ初めは、これまた不思議なものでした。
1年前、とあるマンションの一室で、親分の中村と一緒に空き巣の仕事をしていた時のこと。
その家の電話が鳴り、留守電に緊迫した内容が吹き込まれる。
「死ぬことにしたから。飛び降りちゃうから」と。
慌てて電話をとった今村が引き止め、まさに飛び降りようとしている現場に向かう。
その時の相手が大西だった。

ところで、中村は今村から「中村専務」と呼ばれるようになるのだが、
中村という空き巣には聞き覚えがある。
「ラッシュライフ」に出てきた、へなちょこな二人組だ。
判断力に欠ける上司と、世間知らずな部下。
その時も何やら大きな仕事(郵便局強盗)が控えているとかで、黒澤を誘ってきたのだが、
後先を考えず、ろくな調査や検討もせずに仕事を起こそうとする者と組む気はなかった。
その軽い言動から、私ですら大丈夫か!?と思ったものですが。
その中村がかわいがっていた、かなり天然の若者タダシが今村だった!
当時はカタカナ表記でしたが、今回は「忠司」と漢字表記になっています。

その今村は前回、ニュートンの万有引力を自力で発見した!と興奮していて、
その時のことも本作では触れられていますが、今回はピタゴラスの定理を発見します。
無謀で仕事を一緒にしたいとは思わないけど、ドジキャラで何とも憎めない二人組なのです。

中村のことは見放している黒澤も、今村の将来については案じていた。
中村につくことで、危なっかしい仕事はさせられない、と。
そして今作では、今村と大西を時々助けます。

しかしあの天然のタダシが、まさかこんなに繊細だとは。
その背景には、こんなに重いものを抱えていたとは、
あのキャラからは想像つきませんでした。

取り違えとは他の作家さんの作品でも度々題材にされますが、
昔は結構あったんですかねぇ。
今でこそ生まれてすぐの赤ん坊は、足首に名札をつけられるので、
そういう間違いはないのでしょうけど。
そうじゃなくても、もしもあの家に生まれてたら…なんて、
パラレルワールドを妄想することはありますが、
本作を呼んで、あまりに不謹慎だな、と反省しました。
取り違えを連想させる数々の伏線はさすがです。
タイトルにもなっている、ポテチの味を間違えて、泣きながら食べるシーン。
これはもう伊坂作品の中でも指折りの名場面だと思います。

そういえば、過去の伊坂作品で、やはり血の繋がりに悩んだ人物がいましたね。
「重力ピエロ」の泉水。
遺伝子関係のお仕事をしているので、黒澤の探偵業の方で縁があるのですが、
今回も今村の遺伝子検査で活躍しています。

さて、大西の方にも他作品とのリンクが…。
大西は地面に耳をつけ、そこから伝わる音や響きを確かめるのが、
子供の頃から好きだった。
「オーデュボンの祈り」にもそういう少女がいましたね。
彼女の名前は「若葉」。
でももしこれが同一人物だとしたら、大西の両親は埼玉にいるらしく、
大西若葉がひとりであの島に行っていたということ??


今回の作品はいつになく、過去作品とのリンクが多かったです。
細かいところでまだ私が気づけていないものもあると思うので、
もし気づかれた方いらっしゃったら、是非教えていただきたいです!



フィッシュストーリー (新潮文庫)

フィッシュストーリー (新潮文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/11/28
  • メディア: 文庫


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