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大奥 10

ついに赤面疱瘡を撲滅させるために、
源内と青沼が、人痘を完成させるために奮闘する。

人痘=要はワクチンですね。
コロナでワクチンのことをさんざん報じられたりしたので、
今読むとより理解が深まりますね!

赤面疱瘡も細菌感染ではなく、
ウイルス感染によって引き起こされる病気であろうと思われる。

細菌はそれ自体が1個のれっきとした原核生物であり、
遺伝子として安定した二重鎖DNAを持っているのに対して、
ウイルスはDNAかRNAのどちらか一方の遺伝子しか持たず、
自身だけでは遺伝子情報を読みとり、
タンパク質を合成して子孫を残す事ができない。

ウイルスは自身と相性の良い生物の細胞に寄生して、
自らを複製して増殖するしか生きる道は無い。
その複製の過程で遺伝子の読み違え、
つまり、突然変異(エラー)が起こりやすく、
そのエラーを修復する機構をウイルスは持っていない。

そのエラーのひとつに「ウイルスの弱毒化」がある。
この弱毒化したウイルスをあらかじめ人に感染させれば、
人の体内にそのウイルスに対抗できる情報(免疫)が記憶される。
これを免疫機能という。

そしてこの強毒ウイルスに先回りして人に感染させる、
弱毒化したウイルスをワクチンという。

これが大奥の話!?と思っちゃいますが、
いわゆる男女の愛憎だけじゃなく、
並走している感染症への奮闘、その基礎知識なども解説されているのが、
この作品の深いところだと思うのです。
まさかリアルに、新型ウイルスに遭遇するとは思いませんでしたが。。。

こうして軽症の赤面疱瘡の患者から「種」をもらって、
「植え付け」を希望する者の腕に針で傷をつけ、
「種」を埋め込んでいく。

その試みは、源内が見つけてきた一人の軽傷患者から始まりました。
はじめは蘭学を学んでいた伊兵衛と僖助に植え付け、
そこから大奥内と植え付け希望者が増えて行った。
やがて、大名の息子など、大物にも広まっていった。
発症しても重症化することなく、順調に種が受け継がれていっていたのだが、
百人に三人の割合で、重症化してしまう人がいる。
いわゆるワクチンの副反応による死者なのだが、
その第1号が、松平定信の息子だった。。。

いつの時代も、前例のない治療には勇気がいるもので、
尊い犠牲が出てしまうのはつきものですが、敬意を表したいですね。

ただこの時代、なかなかそうはいかず。。。
田沼意次の政治といえば、天災があって、飢饉がおこり、
人々の不満が爆発した時代でしたね。
ここからガラガラと何もかもが崩れていきます。
源内や青沼も。。。
こんな終わり方なんて、、、と最後のページの黒木の叫びには、
胸が痛くなりました。


内容的には殺伐した巻ではあったのですが、
最初のところに鰻についてのアップデートがありまして。
諸説あるかもしれないですが、「丑の日」の由来がわかります。
思えば、「土用の丑の日に鰻を食べる」って、最強のプロモーションじゃないか!
と思ってしまいました。



大奥 10 (ジェッツコミックス)

大奥 10 (ジェッツコミックス)

  • 作者: よしながふみ
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2014/08/28
  • メディア: Kindle版



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