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Dr.コトー診療所 14

まずは気になる三上先生の容態から。
新婚旅行としてやってきた古志木島で謎の感染症が蔓延し、
治療のお手伝いをしていた三上先生も発病してしまいました!!
というのが前巻までの話。

この島中を恐怖に陥れている感染症の正体がわかります。
感染した患者さんに共通してたこと…それは全員蚊に刺されていたということ。
ここからヒントを得てPCRを行った結果、
この恐ろしいウイルスの正体は「デング」だったことが明らかに!!
*PCRとは血液から核酸(DNAとRNA)を抽出して逆転写酵素でDNAに変換し、
そのDNAをPCR操作で増幅して、それを寒天ゲルの中で電気泳動して、
ゲルに現れるDNAの特異バンドを検出することによって、ウイルス遺伝子を確認すること。
私も専門ではないのですが、ナベとコンロなどと身近にある材料でできてしまうのに驚きました。

ウイルスの正体が蚊を媒介にするデングだとわかったことにより、
人から人に感染する心配がないとわかった為、隔離は解除されました。
ところが問題はこれから…。
デングには特効薬もワクチンもない為、対症療法にかけるしかないのです。
特に出血量の多かった三上先生の回復には、まだ時間がかかりそう。
そんな中、三上先生がまた大量の吐血をしてしまいました!!
あまりに大量に吐血した為、失血性ショックで意識を失います。
カウンターショック(よくドラマでも見かける光景ですね)で一時的に意識を取り戻すものの、
今度は痙攣を起こし、ピンポイントピューピルズ(両側の瞳孔が針先のように小さく縮小すること)に。
これは脳幹出血などの徴候だそうです。
渾身の心臓マッサージも虚しく、三上先生は帰らぬ人に…。
「ご臨終です」という死亡宣告は、診療所で初めて聞きました。
この展開にはさすがの私にもショックが大きかった。
あまりに酷でしょう。
そりゃ初登場時は研修医時代に起こした医療ミスを根に持っていて、コトー先生に復讐しようとしていて、
あんまり良い印象じゃなかったけど、
その後もコトー先生に触発されて何度か登場し、もう「禊」は済んでると思ったのに。
今となってはコトー先生に憧れて自分も同じ離島の医師になって、
しっかり者の奥さんをもらい、お父さんになる予定だってあったのに…。
色々考えるとあまりに残酷だなって思いました。
奥さんの恵さんは、コトー先生や島のことを恨むことなく、気丈にふるまって帰っていきました。

いち読者の私がこんな状態なので、コトー先生のショックといったら計り知れるものではなく。
一応休まずに診療してはいますが、抜け殻のような状態になっていました。
医療に携わる者として、死に直面することは何度もあるし、
ましてや高齢者の多いこの島では、この先どんどん亡くなる人も増えるので、
慣れておいた方がいいというのは語弊があるかもしれませんが、
コトー先生は自分を責めているのでした。
わざわざ自分に会いに来たが為に感染し、また臨時診療所で無理させたことによって、
三上先生を死なせてしまったのではないかと。
またそんな三上先生を自分の手で救えなかったことに、無念さを抱いているようでした。
そんなコトー先生の様子を察した島民たちが、診察してほしいとどっと押し寄せます。
ところがどの人もみんな、たいした症状じゃない人ばかり。
それをコトー先生は「侮辱だ」と怒ります。
その晩、コトー先生の夢枕に立ったのは三上先生でした。
今のコトー先生は島民を癒していなく、そんなコトー先生の方が病気だと。
島民たちはコトー先生を治してあげたいと思っていると。
この翌日、コトー先生に笑顔が戻りました。
コトー先生の元気がないことは、島民みんなの患いでもあったのですね。


続いては感染症の間、影をひそめていたもう一人の医療従事者、下山さんについて。
彼女も最初の印象は性格歪んでましたが、今や介護が必要な患者さんのお世話を一人で担っていました。
その中の一人、幸地さん(通称さちおじ)。
幸地さんは湾岸工事で腰椎骨折して動けずにいましたが、昔から偏屈で有名な人でした。
下山さんも十分それはわかっています。
星野さんと二人で家を訪ねた日も、酒を飲み、家の中をめちゃくちゃに散らかしていました。
それでも下山さんは文句一つ言わず、片付けて料理を作って帰っていきます。
下山さんは幸地さんの本音に気が付いていました。
幸地さんは早くに奥さんを亡くしてからずっと一人で、他人の力を借りずに生きてきたつもりでしたが、
その寂しさや甘えを下山さんにぶつけていると。
片付けが終わるまで下山さんは帰れないから、それを見越して散らかしているのだと。
その証拠に割れ物は一つもなく、あったとしてきちんとゴミ箱に捨ててありました。
それは片付け中に下山さんが怪我しないようにという気遣いなのだというのです。
こんな偏屈な人に暴言はかれてもめげず、しっかり正面から向き合っているからこそ、見えてきた本質。

その晩、幸地さんの家が、コンセントから再び散らかした家具に引火して火事になります。
辛くも助け出された幸地さん。
その姿はあまりにひどく、溶けたコルセットが服にへばりついて、脱げない状態でした。
そんな状態になってまでも大事に抱えていたものがあります。
それは奥さんの写真と、おにぎり。
そのおにぎりは、昼間、下山さんが作っておいたものでした。
熱傷Ⅱ度のやけどを負った幸地さんは、入院して経過を観察することに。
ところが偏屈ぶりは相変わらずで、星野さんが用意した食事を摂ることなく、トレーごとひっくり返すありさま。
見かねた下山さんが、幸地さんの一切のお世話を担当すると申し出ます。
それでもなかなか態度は変わらず…幸地さんからは生きる気力が全く感じられませんでした。

ある日、幸地さんがシーツで首を吊ろうとします。
偶然、病室にやってきた下山さんに発見され、何とか一命をとりとめました。
その時に下山さんが見せた涙…。
コトー先生によると、その涙が幸地さんに生きる気力を与えたというのです。
妻に先立たれ身寄りもいなくて、家まで失って、もうどうしようもない時に、
人を救うことができるのは、他者からの真の思いやり。
うわべだけの気持ちじゃなくて、本当に心から相手のことを思って力を尽くせば、
その誠意は伝わるというものです。

下山さんの献身的な介護の甲斐もあって、幸地さんは退院していきました。
今回のことで学ぶことも多かった下山さんは、今後もっと介護のことを勉強したいということで、診療所を卒業します。
初登場の時とは別人のような生き生きとした表情になっていて、少しうらやましくなりました。
自分のやりたいことと得意なことが一致し、更なる高みを目指すって、一番理想的ですよね。
高齢化が進む古志木島ではますます介護が必要不可欠になってくるので、
介護のプロフェッショナルになって帰ってきてほしいです。

話変わりますが、今回の一連のやり取りで、
星野さんならうまく幸地さんの対応できたはずなのに、
わざと下山さんに押し付けるようなフリをしていたって。
下山さんには最終的に見抜かれちゃったけど、私も全く気づきませんでした。
患者だけじゃなく、同僚(後輩)のキャパシティまで引き出せちゃうなんて、どこまでスゴイ人なんだろう!


ヘビーな話が続き、原さんがコトー先生を気分転換にドライブに連れて行くという、
ほっこり短編が挟まってます。
これで明確にコトー先生のモヤモヤが吹っ切れたようで、安心しました。

そしてまたサプライズな急患が運ばれてくるのですが、それはまた次巻。



Dr.コトー診療所 (14)    ヤングサンデーコミックス

Dr.コトー診療所 (14) ヤングサンデーコミックス

  • 作者: 山田 貴敏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2004/07/05
  • メディア: コミック


絶海の孤島・古志木島の小さな診療所で
数々の難手術を成功させてきたDr.コトーこと五島健助。
コトーに憧れて、ある離島の医師になっていた三上新一が
新婚旅行を兼ねて古志木島にやってきた。
それと時を同じくして、島に謎の病気が蔓延する。
コトーとともに治療にあたる三上。だが彼自身も発病し……
天命とは何か、生命と闘う医師達に神はどんな審判を下すのか!?
感涙とめどない魂の離島医療物語。
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