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VIVA NICE BEST

CASCADEの解散を機に発売されたベストアルバム。
今は復活しているとはいえ、デビュー当初のメンバー4人ではないため、4人の歴史が全て詰まった作品です。
今回はヒストリーブックという、ブックレットとは異なった冊子が付いていたため、
せっかくなので、彼らの歴史をレビューしていこうと思います。
いつもベストアルバムだと曲ごとのレビューが少なく淡白な記事になりがちだったのでね…。

CASCADEの起源は93年春。
まずボーカルのTAMAが友達の紹介でギターのMASASHIをバンドに誘うものの、人間関係のゴタゴタで、メンバーは二人だけに。
ライブをするためにメンバー補充をしようと、バイトで知り合ったドラムのHIROSHIとベースのMAKKOを集める。
これでデビュー当時のメンバーが集まったわけだけど、こうして見てみると、苦節バンドによくありがちな、
「同じ夢に向かって学生時代からひたすら夢を追い続けてた仲間たち」っていうのとはちょっと趣が違う。
本当に運命のいたずらのようなめぐり合わせで、化学反応のようにくっついたメンバーなんだなって思った。
それからは目立った売込みをするわけでなく、スローペースに地道な活動を続けていたようですが、
映像の専門学校に通っていた友人の卒業制作に協力して撮ったビデオを、
TAMAがオーディション番組の「えびす温泉」に送り、優勝したのがデビューのきっかけ。

VIVA!
「えびす温泉」でチャンピオンに輝いた後、たった3日でレコーディングされたデビュー・ミニアルバム。
収録曲は「えびす温泉」で演奏された曲ばかりで、プロとして修業を課せられたりしたわけではなく、
アマチュアなままの音がそのまま収録されている。
収録曲には何かメッセージ性があるわけでもなく、音楽として聞くとかなりの衝撃作なのだけど、
これが彼らの活動原点であり、動機そのもので、面白いことをやろう!っていうのがありありとわかる。
*このアルバムからの収録曲…「Kill Me Stop」「アナログ少年」「しゃかりきマセラー」「VIVA NICE TASTE」

beautiful human life
前作は今できる力で無理なく作ったアルバムだったけど、楽しいばかりがプロではない。
それを思い知らされたのがこのアルバム。
「リズム・キープもまともにできないバンドに未来はない!」と判断され、スパルタな特訓が導入された。
指でしかベースを弾いたことがなかったMAKKOはピック弾きを要求され、
ドラムのHIROSHIはスネアに線を引かれ、ここを叩けと要求される。
何の楽器も奏でられず、のうのうと曲だけを聞いて感想を語るだけの私には、
こんな壮絶な苦労があったなんて想像もできなかったよ。
でもこれがプロとしての最低条件なんだよね。
*このアルバムからの収録曲…「I WANNA KISS TONIGHT」「チェルシー」「Distortion Pinky」

サムライマン
…の前に、この曲のことを語りたいと思います。
「Smile once again」
このアルバムで初めて音源が収録されたわけですが、この曲は実は1stシングル候補曲だったそうです。
ところがインパクトに欠ける等の理由でお蔵入りしてしまったという…。
確かに実際にシングルになった「なりきりボニー&クライド」に比べると大人しい気はするのだけど、
今聴くと、この曲の完成度の高さに驚いてたりもする。
このまま世に出ないなんてもったいないし、ベスト盤に収録してくれて良かったよ!

で、無事にシングルも発売してから発表されたアルバム。
白井良明氏との初コラボ作品ですが、この方とは今後も長いお付き合いをされていますよね。
もともとの起源が4人で面白いことを内輪でやってきたようなバンドだから、
プロの作詞家の手を借りたりっていうのには複雑な思いを抱えていたのかもしれないけど、
プロとして成長していくためには必要なことだったのでしょう。
意外と割り切ってるメンバーもいたようですしね。
この頃からレコーディングのために新曲を書き下ろすようになり、
上のスタジオでライブのリハ、下のスタジオでTDっていう、慌ただしい作業をしていたようです。
*このアルバムからの収録曲…「なりきりボニー&クライド」「家出街ブルース」「泣き虫秘」「小さな星がほら一つ」「ミ・ツ・バ・チ」

YELLOW MAGICAL TYPHOON
先行シングルの「YELLOW YELLOW FIRE」あたりで、ファン層が広がっていったような気がする。
というのも、当時バンドブームで、ビジュアル系などなど、個性的なバンドが群雄割拠していたのです。
私がCASCADEに出逢ったのも確かこの頃で、メジャーでわかりやすいタイプのバンドではなく、
あまりにも奇抜な集団に注目するようになりました。
当時はインディーズを追っかけるような人もいるくらいで、それにしたらCASCADEはメジャーな方です。
最初の荒削りな音楽からずーっと聞いていくと、成長したなぁって思うばかり。
ツアーやアルバム製作でいろいろなスタッフと関わったこともあるのでしょうが、失礼な言い方だけど、「プロの音がする」。
彼ら自身にも「ここでこういう曲が欲しいから書く」という意識改革があったようで、
言われてみればアルバムを通して聞いた時のつながり感がしっくりきたのも、このアルバムが初めてかもしれない。
出会い頭のインパクトを大事にするCASCADEにとって、1曲目はものすごく重要なのですが、
このアルバムの1曲目「arigatai digi maniax」を聞いたときは痺れたよ。
*このアルバムからの収録曲…「OH YEAH BABY」「YELLOW YELLOW FIRE」「arigatai digi maniax」「Shining Blue」

80*60=98
謎の公式のようなアルバムタイトルが一部で話題になったかもしれませんが、読み方は「FORWARD TO THE PAST」。
アルバムのレビューの時にも書いた記憶がありますが、大事なことなのでもう一度書きます。
直訳すると、「過去への前進」。
自分たちが体験できなかったものへの憧れと、体験できたものへの思慕。
曲作りに際してのテーマは「花とナイフ」だそうで、
70年代生まれの彼らが生まれる前の60年代は「花」のイメージ、彼らが10代を過ごした80年代は「ナイフ」のイメージだそうです。
80年代生まれの私には、どちらの時代もピンと来ない。
でも生まれる前の名曲っていうのは後世にまで残るほどの名曲なわけだし、感受性豊かな10代の頃に聞く音楽というのも、
自身の音楽観を形成するのに多大な影響を与えてるはず。
私にとっては10代を過ごした90年代の曲がそうで、この時期に活躍してたCASCADEの曲は今でも心に残ってるわけです。
この1998年は、正にCASCADE全盛期!
誰が聞いても頷ける名曲がいっぱいあって、このアルバムは最高の1枚です。
CASCADEのアルバムの中で、一番多くの人に聞いてもらえているのではないでしょうか。
例によってこだわりの1曲目「la narracion grande」から、ラストの「湖の上50メートル」まで、
どの曲が欠けても成り立たない、最高のコンセプト・アルバム。
もしCASCADEのアルバムを1枚だけ紹介するように言われたら、真っ先にこのアルバムを挙げると思う。
*このアルバムからの収録曲…「スーパーカー」「S.O.Sロマンティック」「la narracion grande」「湖の上50メートル」

コドモZ
前作で飛躍し、それから更にコアな方向へ進んでいっているような、より玄人になっていくのがわかります。
HIROSHIが初めてインストを作り、MAKKOによる作詞・作曲もあったり、メンバー個人個人が才能を開花させたなぁ、と。
そのおかげでバラエティ豊かな曲が揃っているような気がします。
収録曲全てのタイトルがカタカナ表記になっているのも、こだわりを感じました。
カタカナは余計な感情を排除し、無機質感を演出するのにピッタリですからね!
*このアルバムからの収録曲…「cuckoo」「メモリーズ」「アザヤカナキセキ」「マダラダマ」「ハレルヤ!アイノメガミ」「アイファクトロニー」

Adrenalin No.5
レコード会社を移籍して初めて発売されたアルバム。
その前に発売された移籍後の第1弾シングル「Dance Capriccio」は、打ち込みによるポップなナンバーでした!
ついに新境地か!?と思ったものの、
その次に発表された「コングラッチェ」はアニメ主題歌だったため覚えやすい・歌いやすい曲になっていました。
続いて発売されたこのアルバムは、発売延期になったりと、セルフ・プロデュース故の苦悩があったようです。
ちなみに「Dance Capriccio」はコンセプトに合わなかったのか、このアルバムには収録されず、
このベスト盤でやっと収録されることになったのです。
いろいろあって作られたアルバム、デビュー時のような勢いを感じるアルバムになっています。
*このアルバムからの収録曲…「コングラッチェ」「TOKYOダーリン」「劣等歌」「恋愛前線完全勝利」

BUTTERFLY LIMITED EXPRESS
ロングセラーとなったシングル「Sexy Sexy,」のプロデューサー、久保こーじ氏がこのアルバムもプロデュース!
こんなビッグなプロデューサーを迎えて出来上がったアルバムは、今までのCASCADEとは違う雰囲気のキラキラしたアルバム。
80年代っぽい少しノスタルジックなサウンドと妖しくエロティックな歌詞に、CASCADEらしさも出てるかな。
曲間を繋ぐ「CASCEDELIA」というインストも初の試みですね。
その中で異質なオーラを放っている「CANDY BEACH」は底抜けに明るい曲で、
後に発表された解散を惜しむ気持ちを吹っ切ってくれる気がしました。
*このアルバムからの収録曲…「Sexy Sexy,」「STRAWBERRY MOON」「BUTTERFLY LIMITED EXPRESS」「CANDY BEACH」


2002年、こうして彼らはお互いの方向性を見つめ、解散することを選んだのです。
もともとが個性的なメンバーだっただけに、活動していく中で、それぞれが色々なビジョンを見いだしたのでしょうね。
このベスト盤はその7年間の軌跡を、レコード会社の惑を飛び越えて作られた、ミュージアム的な一枚。
収録曲数はなんと40曲!!
個人的には2ndシングルのカップリングだった「やさしい風」がやっと収録してもらえたことに喜びを感じています。



VIVA NICE BEST

VIVA NICE BEST

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2002/09/19
  • メディア: CD


<DISC 1>
1.Kill Me Stop
2.I WANNA KISS TONIGHT
3.Smile once again
4.死んだビーチ
5.なりきりボニー&クライド
6.OH YEAH BABY
7.やさしい風
8.YELLOW YELLOW FIRE
9.スーパーカー
10.S.O.Sロマンティック
11.FLOWERS OF ROMANCE
12.cuckoo
13.メモリーズ
14.アザヤカナキセキ
15.Dance Capriccio
16.コングラッチェ
17.TOKYOダーリン
18.ズケズケマン
19.Sexy Sexy,
20.STRAWBERRY MOON

<DISC 2>
1.アナログ少年
2.しゃかりきマセラー
3.VIVA NICE TASTE
4.チェルシー
5.Distortion Pinky
6.家出街ブルース
7.泣き虫秘
8.小さな星がほら一つ
9.ミ・ツ・バ・チ
10.arigatai digi maniax
11.Shining Blue
12.la narracion grande
13.湖の上50メートル
14.マダラダマ
15.ハレルヤ!アイノメガミ
16.アイファクトロニー
17.劣等歌
18.恋愛前線完全勝利
19.BUTTERFLY LIMITED EXPRESS
20.CANDY BEACH
タグ:CASCADE
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