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唄ひ手冥利~其ノ壱~

産休復帰後の林檎ちゃんの作品は、カバーアルバム。
彼女があくまで唄ひ手に徹し、幼少の時に聞いた音楽など、彼女の音楽に大きな影響を与えた楽曲が選曲されている。
2枚組みのアルバムですが、通常のようにディスク1、2というのではなく、
2人のプロデューサーの名前から、「亀パクトディスク」「森パクトディスク」と名付けられている。
亀パクトディスクは亀田誠治氏によるプロデュースでギター中心のアレンジ、
森パクトディスクは森俊之氏によるプロデュースでキーボード中心のアレンジとなっています。


【亀パクトディスク】

灰色の瞳
1974年に加藤登紀子さんと長谷川きよしさんののデュエットで大ヒットしたフォルクローレ歌謡の曲を、
スピッツの草野マサムネさんとのデュエットで唄っています。
フォルクローレとは、一般的には南米アンデス地方の民族音楽を総称したもので、
この曲ももともとはアルゼンチンのケーナ奏者によるものだそうです。
だから何となく私の好きな南米ラテンのリズムを感じるのでしょうか。

more
映画「世界残酷物語」のサウンドトラックに収録され、アカデミー歌曲賞にもノミネートされた曲。
作曲はイタリアの映画音楽家によるもので、イタリア語の歌詞がつけられたが、
後に英語詞が付けられ、多くの著名なシンガーによって歌い継がれ、今に至る。
さすがに映画は観たことないのですが、この曲はわりと耳にしたことがあり、特徴的なメロディーは記憶に残っています。

小さな木の実
NHKの「みんなのうた」で何度も放送されている曲。
19世紀のフランスのオペラ作曲家、ジョルジュ・ビゼーが、歌劇「美しいパースの娘」のために書き上げた曲だそうです。
限局のオペラ調の演出とは違い、秋風を誘うようなギターアレンジと林檎ちゃんのハスキーボイスは、日本の秋の雰囲気を表しているようにも思える。

i wanna be loved by you
マリリン・モンローが映画「お熱いのがお好き」で歌った、あまりにも有名な名曲。
林檎ちゃんが歌っても色気たっぷり。
でも軽快なロックサウンドになってて、もたれるような甘さではなく、颯爽とした仕上がり。

白い小鳩
日本のR&Bシンガー、朱里エイコさんの曲。
今のR&Bとは全く雰囲気が違いますが、ソウルフルな歌い方は現代にもつながっているのではないかな。
ロック調になっているので、少しデフォルメされているかもしれないけど、
林檎ちゃんの70年代っぽいレトロな歌い方もイメージにぴったり。

love is blind
ジャニス・イアンによる曲で、日本では1976年にドラマの主題歌としても起用されたらしい。
ジャニス・イアンの原曲も聞きましたが、彼女の声と林檎ちゃんの声の雰囲気がそっくり。
確かに影響を与えた人なんだなー、と思わせる。

木綿のハンカチーフ
1975年の太田裕美さんの名曲。
田舎に残った女性と都会に出て行った男性の気持ちを綴った詞で、その情景が周りの風景とともに浮かんでくる。
直接的に心情を綴った歌詞が多かった当時、この表現方法は斬新だったと思う。
このアルバムでは林檎ちゃんが男性の視点の歌詞のパートを、松崎ナオさんが女性の視点の歌詞のパートを歌っています。
今まで何度となく聞いてたこの曲ですが、実は登場人物が2人いるデュエットだったんですね!
間奏で野薔薇の1フレーズが入っているのは、2曲先の伏線かな。

yer blues
1968年に発売されたアルバムに収録された、ビートルズの楽曲。
ビートルズは世代ではないので、メディアでよく流れる曲しか知らないのですが、こんなブルースの曲も作っていたんですね。
ブルースといえば当時大注目されていたジャンル。
しかしこの曲の内容は、そんなブルース・ロックを揶揄する内容であるとされているそうです。

野薔薇
ドイツの詩人・ゲーテが、1770年、フリーデリーケ・ブリオンという女性に抱く恋心を綴った詩に、シューベルトが曲をつけたもの。
高校生の時の音楽の教科書に載ってて歌ったな。
ちゃんとドイツ語で歌ったんですよ!
林檎ちゃんもドイツ語で歌っていますが、卒業してから10年経った今でも意外と覚えていて、一緒に歌えます(笑)
余談ですが、大学時代の第2外国語でドイツ語を選んだので、読みだけなら何となく読めたりします。


【森パクトディスク】

君を愛す
デンマークの童話作家・アンデルセンによって書かれた詩に、ノルウェーの作曲家であるグリーグが作曲して生まれた曲。
1830年の夏、友人を訪ねたアンデルセンがその友人の姉に抱いた恋心を詩に綴る一方、
作曲家のグリーグも1864年、21歳の時に恋人であった歌手のニーナと婚約する際、その気持ちをアンデルセンの詩に託し、曲を付けたことで誕生したそうです。
ここでもドイツ語の原詩で歌われています。
"Ich liebe dich"は私でもわかる。I love you
他の部分は時間がある時に、独和辞典を使って読み解いてみたいと思います(笑)

jazz a go go
60年代のフランスにおけるアイドルの代表格、フランス・ギャルが1964年にリリースした曲。
さすが流行の最先端フランス、音楽のセンスも最先端をいってます。
林檎ちゃん、今度はフランス語でつらつらと歌ってます。才女ですね。

枯葉
第二次大戦後のシャンソンにおける最高傑作といわれているほどの曲。
もともとは1945年6月にパリのサラ・ベルナール座で上演されたローラン・プチのバレエ「Rendez-Vouz」のために、
作曲家のジョセフ・コスマが作ったもの。
その後、映画「夜の門」の台本を手掛けた詩人のジャック・プレヴェールが歌詞を書き、シャンソンとして知られるようになったそうです。
この曲の歴史は全く知らなかったけど、サビのメロディーはどこか聞き覚えがあって、私の中でもシャンソンの王道として定着しているんですね。
かのエディット・ピアフも歌っていて、動画サイトで聞くことができました!

i won't last a day without you
カーペンターズによる、72年に発表されたバラード。
カーペンターズには名曲がいっぱいあるけど、メロディーも歌詞も素晴らしいこの曲は、一番好きかもしれない!
今回のアルバムでは林檎ちゃんと宇多田ヒカルさんのデュエットになっています。
この二人の声質がぴったり合って、素敵なハーモニーに!
歌唱力も表現力もある二人の最強のデュエットは、一度聞いただけで感動しました!!

黒いオルフェ
ボサノヴァを生んだアントニオ・カルロス・ジョビンが、作詞家のヴィニシウス・ヂ・モラエスと創りあげた舞台劇を、
マルセル・カミュ監督のもと、「黒いオルフェ」として映画化。
そのサウンドトラックは誕生したばかりのボサノヴァを国際的に広めた作品として知られているそうです。
つまり、この曲はボサノヴァの原点というわけですね!
この独特のリズム感やノリがなかった時代なんて、今や想像できない。

mr.wonderful
サミー・デイヴィスJr.がブロードウェイ・デビューを果たしたミュージカル「ミスター・ワンダフル」で歌った1曲とのこと。
いかにもミュージカルらしく、声だけじゃなくて体ごと表現したくなるような曲。
こういうミュージカルの世界観が、今後の林檎ちゃんの作品に大きく影響してるのはよくわかる。

玉葱のハッピーソング
原題はthe onion song。
マーヴィン・ゲイとタミー・テレルによる1969年発表のアルバムからの1曲。
今回は林檎ちゃんと実兄の椎名純平さんによるデュエットでカバー。
それまで林檎ちゃんにお兄さんがいるなんて知らなかったし、ましてやお兄さんもシンガーだなんて知らなかったからビックリした。
でもさすが兄妹、本当に意気がピッタリ!!
共通の才能があって一緒に楽しめる兄妹だなんてうらやましい。

starting over
1975年から主夫業および育児に専念するため音楽活動を休止していたジョン・レノンが、5年ぶりにアルバム「DOUBLE BANTASY」を発表。
その冒頭の曲がこの曲で、正に再出発の象徴とも言える曲だったそうです。
しかしそのリリースから1か月後、狂信的なファンによって殺害されたというのは、周知の事実。
私が生まれる前のエピソードなので、訃報以外は全く知らなかったのですが、ジョンは今はやりのイクメンだったのですね。
この曲はよくCMでも流れているので知ってました!
何かを始めたい時にぴったりの、歩き始める勇気をくれる曲。

子守唄
ショパンの「華麗なる円舞曲 イ短調 作品34の2」の一節を、林檎ちゃんが抜き出してリピートし、彼女のオリジナルの詞とメロディを付けたもの。
原曲となったピアノ演奏を動画サイトで聞いてみたのですが、確かにモチーフとなるフレーズがありました!
言われなければ全く気づかず、完全に林檎ちゃんのオリジナルの曲かと思ってたよ。
物悲しいフレーズを飾りつけるようにチラチラと鳴り響く音色は、子供をあやすガラガラだそうです。
クレジットによると、林檎ちゃんが担当してるみたい。
音が出るものなら何でも音色として採用してしまう才能は類稀だと思います。


林檎ちゃんの音楽に影響を与えた楽曲たちのコレクションなんだけど、なんだかまるで、音楽史のミュージアムを訪れたような感覚でした。
これだけ年代問わず幅広い音楽を聴いてきたからこそ、林檎ちゃんの幅広い表現力や才能があるんだろうなぁ。
いや、ただ聞くだけでなく、それらの音楽を自分の中に取り入れることで、プロのアーティストとしての世界観が確立しているんだと思う。
林檎ちゃんに縁のある曲はまだまだあるだろうし、もっと聞きたいから、いつか「其ノ弐」が出ることはないのかな、と期待しています。



唄ひ手冥利~其の壱~

唄ひ手冥利~其の壱~

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2002/05/27
  • メディア: CD


【亀パクトディスク】
1.灰色の瞳
2.more
3.小さな木の実
4.i wanna be loved by you
5.白い小鳩
6.love is blind
7.木綿のハンカチーフ
8.yer blues
9.野薔薇

【森パクトディスク】
1.君を愛す
2.jazz a go go
3.枯葉
4.i won't last a day without you
5.黒いオルフェ
6.mr.wonderful
7.玉葱のハッピーソング
8.starting over
9.子守唄
タグ:椎名林檎
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