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蟲師 2

やまねむる
山のヌシの意向に従い、狩りや収穫などの営みをする里の物語。
ヌシの意向を伝えるため、ムジカという蟲師がいたのだが、その者が行方不明になっているという。
里人に頼まれ、ギンコが捜索に向かったのだが、ムジカが山のヌシとなっていることが判明した!
ヒトが自然界を統べる存在になれるとは、ちょっと想像しにくい。
実際、ムジカがヌシとなった理由は、実に人間らしいものだった。
なんと前のヌシを誤って殺してしまったのだ。
理由はよくあるような利己的なものではなく、とても切ない背景があるのだけど。
まぁでもヒトのエゴには変わりないか。
そのムジカもやはりヒトがヌシを続けるのは限界だということに気づいていて、後に継がせようとしていた。
その方法があまりにも壮絶で…。
ギンコが珍しくアツくなるほど。
ヒトが侵してはならない自然界の在り方を元に戻すとは、こういうことなのか。
でも、ヌシの件をぬかして、ムジカの生き様はしっかりと弟子のコダマに受け継がれていると思うよ。

筆の海
数々の蟲封じの方法を蟲師から聞き、ひたすら書き留める者がいる。
彼女の名は狩房淡幽。
これは狩房家の中で筆記者として生まれついた者の使命である。
何台かに一人、体の一部に墨色のあざを持って生まれてくる者がおり、その者が筆記者となる。
淡幽の右足にもあざがあり、ここには禁種の蟲が封じてあるというのだ。
このため淡幽は足が不自由になるが、そのかわり彼女には大切な役目があった。
それは、蟲を屠った体験談を聞き、紙に書き写すこと。
こうすることで、淡幽の体内の蟲も眠らせることができるという。
ただし、これらの話は全て蟲たちの殺生に関する話。
体内で蟲と同調している淡幽は、話を聞くたびに足が痛み、心も疼くようになったのだ。
蟲師にもいろんなスタンスの人がいるようで、蟲を下等な存在とみなし、見下す者もいれば、
できるだけ蟲と共存できる道も考える者もいる。
ギンコはどちらかというと後者のタイプかな。
だから淡幽はギンコの話を好んで聞き続けるのだろうね。
ちなみに淡幽はこの後の巻でも登場し、この作品では数少ない準レギュラーです。

露を吸う群
生き神を信仰する島の人々の物語。
その生き神となっているのは、あこやという少女だった。
昔あこやと仲良くしていたというナギは、ギンコに彼女の診断を依頼する。
原因は彼女の鼻腔に寄生している蟲の仕業で、彼女の体には不思議なことが起きていた。
それを目の当たりにした島民たちは、奇跡として信仰しているのだった。
ナギや当人に事情を聞くと、どうやら当主による蟲の悪用だということが判明した。
このような悪い習慣を断ち切らせるためにギンコは手を打つが、あこやが選んだ道は…。
このお話で考えさせられたのは、時間の使い方について。
生き物はそれぞれ寿命の長さが異なるが、生涯で脈打つ回数は同じだという。
だから寿命が短い生き物ほどはやく脈打つことになる。
つまり時間の密度が違うことになり、これは脈だけじゃなく、時間の過ごし方にも言えると思う。
あこやは蟲に寄生されることで蟲の時間と同調し、毎日、生死を繰り返していた。
この蟲にはたった1日の寿命を生きることで精一杯だが、人間には膨大な時間が広がっている。
それをどう過ごすかは、本当にその人次第だなと考えさせられた。

雨がくる虹がたつ
雨上がりの虹をつかまえようとする男の話。
そもそもの発端は、彼が幼少の頃に遡る。
彼の父親はある日、虹の生えているところを見て以来、雨の降りそうな日は心がざわめき、実際に野山を駆け回るようになったという。
本当に狂気じみた行動だが、どうやら息子の虹郎にも受け継がれていたようだ。
話を聞いて興味を持ったギンコは、虹を探す協力をすることに。
ギンコによると、この虹の正体は虹蛇という蟲であり、虹郎たち親子は心底とりつかれていたのだ。
虹郎の家は代々、橋大工の家系で、大水で橋が流されるたびに、頑丈な橋をかけてきた。
そういえば虹も「空に架かる橋」だから、よけいに親子の気をひいたのかもしれないね。
流れる川のようにどこかに現れてはまた消えてどこかへ行く虹蛇は、ギンコのような流れ者としての行き方の象徴として描かれています。
よっぽどのことがない限り、人は橋のようにどこかの土地に寝を下ろして生きるもの。
ギンコの生き方を、別の角度から捉えられたような気がした。

綿胞子
これは…ホラーです!
事の発端は、あきの体内から産まれた緑のヘドロ状のモノ。
それがあっという間にどこかへ逃げ去り、1年後、突然床下に赤子が置き去りにされていたという。
赤子はその後もどんどん増えていったが、今、最初に産まれた子に緑の斑が表れ、衰えている。
この赤子たちは綿吐という蟲で、身重の母親の卵に寄生し、こうして赤子の姿の人茸を親元に送り込むのが特徴。
あらすじだけ書いててもぞっとしてきた。
この人茸は床下に眠る本体に養分を送るための器官に過ぎず、寿命を迎えると大量のたねをまいて死んでいく。
ここまでして生物として生き残ろうとするなんて、恐ろしい執念だなと思ってしまう。
人の姿をしていたら処分しにくいじゃないか。
ましてや人の言葉をしゃべるようになったら、ますます愛でたくなるじゃないか。
卑怯だけど、これがこの蟲の生き残るための術なんだね。
結末はギンコらしく、種としての生存をテーマにした生物学っぽいお話でした(笑)



蟲師 (2)  アフタヌーンKC (284)

蟲師 (2) アフタヌーンKC (284)

  • 作者: 漆原 友紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/02/20
  • メディア: コミック



タグ:蟲師
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