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ベルセルク 22

いよいよベルセルクが「ファンタジー」って言われる所以がわかるような展開になってきましたね。
人智を超えた者や減少の数々が登場してきます。
それは世界の理に関わるような膨大なテーマで、作者が描きたかったのはこれから展開される物語だと思うのです。
ガッツとグリフィスとの因縁を語る上で重要な、序盤の地に足のついた人間ドラマも面白いですけどね。
残念ながらそれは序章にすぎなかったのです。


そんな前置きはさておき、私はファンタジー大好きなので、超常現象だらけの展開も興味深く読んでいます。
ただファンタジーといってもおとぎ話ではなく、人のドロドロしたものを抱えたダーク・ファンタジー。
残酷な描写が相変わらず出てきますが、そこはご覚悟を。

さて本編はと言いますと、あのグリフィスが何と人間界に戻ってくる!
専門用語(?)では受肉と言うようです。
まるでキリストの誕生のようですね。
肉体の器になったのは、ガッツとキャスカの間にできた赤子らしい。
この赤子の想いが残留しているようで、特にキャスカに近づいたときに、グリフィスの鼓動が高鳴っていた。
ガッツとキャスカは肉体的には両親ということになるのか?ややこしい。
このつながりがその後の展開に関わるんじゃないかと、ちょっと期待しております。

肉体を得たグリフィスはリッケルトの前に現れ、リッケルトは真実を知ることになるのです。
彼だけは元鷹の団のメンバーでありながら、何も知らなかったんだよね。
それはそれでどんな運命のもとに生まれついたのだろうと感慨を覚える。
真実を知ったらリッケルトも黙ってはいられず、ガッツについていこうとしたけど、リッケルトには新しい人生や家族があった。
持ち前の暖かさでエリカを守って、幸せに暮らしてほしいな。

ガッツとキャスカは、今度こそ安住を求め、リッケルトたちのいる鋼洞に戻ってきたのですが、
残念ながらグリフィスを守るゾッドとの戦いでめちゃくちゃになってしまい…。
ガッツとしてはグリフィスへの復讐を果たしたいところだけど、キャスカがいる。
もう二度とキャスカを失わないためにガッツが選んだ選択とは、キャスカとともにパックの故郷を目指すこと。
ガッツがしっかりキャスカを守りながら歩いていく姿にキュンとした(笑)
ここまで二人が物理的に寄り添えるようになるまで、いろいろあったからねぇ。
こうして雪の中、二人は旅立っていったのでした。
それはまるで、かつてガッツが一人グリフィスの元を離れていった時のように。


ベルセルクにおいて、「雪と旅立ち」は深い関係があるようですね。
そんな雪の降る中、もう一つの物語が展開されていました。
番外編として収録されている「雪と炎と」
これはファルネーゼとセルピコの物語です。
あの断罪の塔の件で生き残った二人もまた新たな道を歩き始めるのです。
が、このお話はもっと昔、彼らが出逢った時のことが描かれています。
語り手がセルピコの視点で描かれるので、セルピコの生い立ちも描きつつ、ファルネーゼの幼少時代についてもわかります。
かつてファルネーゼが自分語りで幼少時のことを回想してたけど、それとはまた違う。
彼女のことを客観的に分析することができます。
それがまた冷静なセルピコの目線で語られるから、じっくり分析できる。

彼女が何故あれほどまでに邪教徒狩りに執着するのか。
何故あれほどまでに凄惨な光景を目にしても、顔色ひとつ変えないのか。
ヴァンディミオン家という超名門の貴族に生まれついた故の、独特の孤独感。
寂しがりやの女の子は、親の気を引こうと必死だったのかもしれない。
そんな中で出逢ったセルピコは、年頃も近く、寂寥感を埋めるにはちょうど良かったのかもしれない。
セルピコも病気の母を抱え、生きていくために彼女のもとを離れるわけにはいかなかった。
二人の関係は共依存のように、歪んだ関係になっていった。

実は二人は異母兄弟であり、ファルネーゼはそのことを知らない。
セルピコは死にゆく母に、当主を一目会わせたかっただけなのかもしれない。
結局その願いも叶わず、ファルネーゼによって、セルピコ自らの手で母を葬ることになってしまうのですが…。
その時に何かが吹っ切れたのではないかな。
母のことを語るセルピコが「それ」と言っていて、もはや人と認めてないのだろうなぁとも思った。

こうしてセルピコはファルネーゼと一緒にいるわけで、そこには計り知れない深い関係があったのです。
新たな旅に出ることで、この二人にもまた何かが開けるといいけどね。
特にファルネーゼは揺らぎ始めているようだから。



ベルセルク (22) (Jets comics (873))

ベルセルク (22) (Jets comics (873))

  • 作者: 三浦 建太郎
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: ペーパーバック


断罪の塔聖アルビオン寺院倒壊後、クシャーンの包囲網を突破したガッツ・キャスカ・パックは烙印の宿命から逃れるため、鍛冶屋ゴドーの鉱洞に向かう。
そこでガッツが出会ったのは復活したグリフィスであった。
果たして彼は何を語るのか!?
千年帝国の鷹(ミレニアム・ファルコン)篇/聖魔戦記の章開始!
タグ:ベルセルク
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