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D-蒼白き堕天使4

ついに完結しましたが、まさかこんな結末を迎えようとは!!

前巻から現れた、娼館の主であるフィッシャー・ラグーン
貴族の統治下で、堂々とこんな商売をする彼は、やはり只者ではなかった。
それには、Dや男爵の出生の秘密を握るカギとも関わっている!!

男爵の出生を巡る哀しい物語。
またしても神祖の思惑が生み出したものだった。
このために、父であるヴラドは息子を怨み、母コーデリアは息子を憂い、
男爵は父を憎しむのであった。

コーデリアは水の中で生きることを強いられる、生き地獄を与えられた。
その処置をしたのが老学者カリオールだった。
カリオールの、コーデリアに対する想いもひとしおだったのだろう。。。

過去を知る者たちの色々な想いが交錯したとき、どんな結末を迎えるのか!?


Dの旅には、いつも哀しみがつきまとう。
でも、これほど切ない思いをしたのは初めてかもしれない。

貴族と人間の歩みより。
普通の貴族にしてみたら、こんなことは屈辱的なことだ。
でもバイロン・バラージュ男爵は違っていた。それはシリーズ当初からわかってたけど。
もうひとりの貴族ミスカも、旅を経て変わった。
当初は典型的な貴族タイプだった彼女が、人間であるメイとヒュウを庇うこともあった。
いろいろな要因があるのだろうけど、彼女も新たな可能性を秘めた興味深い存在と言える。

ミスカの気持ちを動かしたメイとヒュウの存在も大きいものだろう。
幼い子どもながらも、人生の厳しさを心得ていた。
そして、その乗り越え方もわかっていた。

「世の中、いいことばっかりじゃないけれど、悪いことばかりでもないの。
その中で、何とかやってくのが多分、生きるってことなのよ。
あと三〇年もたてば、きっと、あたし、辛かったことも懐かしく憶い出せる。
そんな人間になりたいんだ」

年端もいかぬ少女の言葉に、私まで説得させられてしまった(笑)
何気ないセリフだけど、貴族が人のことを思いやるようになるなんて、すごいことなんだよ。


今回、敵味方を問わず、数多くの人の血が流れたけれども、
一番好きなシーンはクロモの最期のシーン。
最期の力を振り絞って、敵の死化粧を施し、二人ともに息絶えていく…。
壮絶で、神々しいシーンで、震え上がりました。

長い長いシリーズでしたが、ずっしりと心に響く作品でした!!


D-蒼白き堕天使 4 新版 (朝日文庫 き 18-14 ソノラマセレクション 吸血鬼ハンター 9)

D-蒼白き堕天使 4 新版 (朝日文庫 き 18-14 ソノラマセレクション 吸血鬼ハンター 9)

  • 作者: 菊地 秀行
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社出版局
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 文庫


苛烈な父と子の相克のドラマは、老学者カリオール、娼館の主ラグーンの思惑もからんで、混迷の度を増していた。
緒戦に完敗したバラージュ男爵は、父を斃すためにミスカの体内の破壊者を我が身に呼び込もうと決意し、Dの力に脅えたヴラドは山の民に守られた山城に居を移そうとする。
そして数次の戦いを経て、刺客たちがすべて死に絶えたとき、悲劇の最後の幕が上がった。
超人気シリーズ、壮絶な完結巻!
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