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D-北海魔行(下)

お待たせしました!大ボリュームの下巻です。
珠の秘密も明らかになるし、次々と決着も着きますよ♪
それからスーインの過去も…

珠は結局、吸血鬼がらみの品ではあったのですが、付け狙う者たちの思惑もそれぞれ。
人はあまりの恐怖の対象に出逢った時、ただ恐れ逃げ惑うだけでなく、
時として、その恐るべき力を手に入れて対等になろうとする。
この心理は当てはまるものだと思う。

人間は吸血鬼の前になす術もない。
だが、その不死身の強さに憧れ、吸血鬼になりたいと憧れる者がいる。
こういう執着が人間らしいと言えばそうなのかもしれないけど。
血の探求者」と呼ばれる者たち。
永劫に果てぬ吸血鬼の血の秘密を探り、自らの身につけるべく、吸血鬼に血を吸われることさえも厭わぬ狂信者たちだ。
謎を解くためなら、どんなことでもするであろう。人の執念とは恐ろしい

でも生物である以上、「生への執着」があるのは、人間も吸血鬼も変わらない。
例えば吸血鬼は水が苦手だけど、その科学力を持ってしてでも克服したかったに違いない。
その結果、海沿いの村には悲劇が生まれてしまったが…。

人にあって吸血鬼にないのは「思い出」という過去への執着。
時としてその思い出が、人を苦しめることもあるけど。
ただし、数ある執着の中で一番強いのは、他者への執着かもしれない。
だとすれば、Dは何を支えに立っているのだろう?

ひたすら強さを求めた修行者・グレン。
人間にしてはかなりの美貌の持ち主で力もあるのに、Dに出逢ってしまったことで運命が変わってしまった。
残念ながら、ダンピールであるDとの差は血筋だけではない。
誰も測り知れない過去がDにもあって、人が持つ執念なども、とうに超越してしまったんだろうな。

今回Dは、いろんなことしてます。ほんと器用!
危うく漁師になっちゃうかと思っちゃった。水は苦手なはずなんだけどね;
やっぱりDはタダモノじゃないね。
ちょっと貴族の血を入れたくらいじゃ追いつけないって!←結局それかよ

それと、毎回Dと名コンビを繰り広げる左手も大活躍!!
左手のことも語ろうかと思ったけど、いろいろ語ることも多いし、今後も語る機会はありそうだから、またの機会に。

そうだ、上巻でもあえて触れ忘れたナイスキャラ、逆しまのトト。
何でも辺境屈指の大泥棒らしい。
彼は珠の秘密を全く知らなかった。
ただその追っ手を見て、珠の価値を勘で悟り、狙ってただけだと言う。
全く泥棒として芯の通ったヤツだ。他の道で活かせればいいのにねぇ。器用そうだし。

というわけで、欲しいモノを手に入れたい者たちの執念の物語、ここに完結!!


D-北海魔行 下 新版 (朝日文庫 き 18-8 ソノラマセレクション 吸血鬼ハンター 7)

D-北海魔行 下 新版 (朝日文庫 き 18-8 ソノラマセレクション 吸血鬼ハンター 7)

  • 作者: 菊地 秀行
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社出版局
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 文庫

凍てついた海辺の村に、わずか一週間だけの束の間の夏が訪れた。
だが、待ちわびた夏は年に一度、犠牲者を求めて海から貴族が上がってくる季節でもあった。
そして、珠を狙う五人の戦闘士や奇怪な老人等とDとの抗争が、今年の夏にさらに凄惨な彩りをそえていた。
夏の第一日目、ついに死闘の幕は切って落とされた。
壮大なスケールと圧倒的な迫力でおくる<D-北海魔行>完結編!
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