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D-聖魔遍歴

今度のDは、砂漠が舞台。
広大な砂地の上でも優雅に馬を進めるDは、やっぱ画になりますなぁ。
しかし、Dが渡る砂漠、ただものであるはずがない。
あの手この手でダイナミックな攻撃を仕掛けてきます。
なおかつ、この砂漠は意志を持っているという。なんと厄介な。

今回は、ストーリーの鍵でもある「ダンピール」について語りたいと思います。
ダンピールとは、人間と吸血鬼の間に生まれた子どものこと。
人間と吸血鬼の双方の性質を受け継いでいるが故、
人間からは「吸血鬼と同類」と疎まれ、吸血鬼からは「卑しい者」と毛嫌いされる。
そんな、悲しい宿命の存在なのです。

居場所のないダンピールたちは、ハンターでもやって生き延びるしかない。
そう、Dのように。

今回の旅で出逢った人たちは、本当に不思議なめぐり合わせだったんだと思う。
中でも元百姓のランスと、吸血鬼に拉致された「隠されっ子」のタエ。

①ランス
砂漠に来る前は百姓をしていたが、砂漠に捕えられ、やっとの思いで脱出してきた男。
優しくのどかなオーラが出ていて、荒っぽいこととは無縁そうな、イイ人なんです。
ハンターに憧れる彼に対して、Dは自分たちにはできない仕事だと言う。
「ハンターはいなくても困らないが、食料がなければ人は生きていけない」と。
いて当たり前のような存在になって、表立って感謝されることすらないけど、正論だと思う。

②タエ
吸血鬼に拉致されていたが、人探しのバイパー婆さんによって救出された少女。
ただし、吸血鬼の城にいて、ただで済んだはずがない。
彼女は吸血鬼の子を妊娠している。
生まれてくるダンピールの子の行く末を不安に思いながら、ダンピールであるDを見つめる。

それから、もう一人の重要人物。人探しのバイパー婆さん。
この人との関わりも重大な意味を持つのだけど、ネタバレになってしまうので自粛。
気になる方は読んでみてください。

ダンピールがハンターになる以外の道はないのだろうか?
もしかしたらDもそれを模索し続けているのかもしれない。
自分にはできないとしても、少女のお腹の子に託して。
これならDもまだまだ定住するには至らないね。←偉そうに(笑)
血のつながりのない人たちの思いやりや優しさが描かれていて、最後には泣いてしまいました。
Dシリーズの中で大好きな作品です。


D-聖魔遍歴 新版 (朝日文庫 き 18-6 ソノラマセレクション 吸血鬼ハンター 6)

D-聖魔遍歴 新版 (朝日文庫 き 18-6 ソノラマセレクション 吸血鬼ハンター 6)

  • 作者: 菊地 秀行
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社出版局
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 文庫


辺境を内と外に二分する砂漠は、帰らざる砂漠として恐れられている。
外辺境の町から、今しもその砂漠へ足を踏み入れようとする奇怪な一団がいた。
D、八年前に貴族に誘拐された娘を救出して家族のもとに送り届けようとする人探しバイパー婆さん、それにDをつけ狙う外辺境一の戦闘士・ビューロー兄弟。
だが一行の誰も、その砂漠が意志を持っていることを、まだ知らなかった。
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