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大奥 4

男子の人口が増えない中、家光は女将軍を名乗る。
それは将軍家に限ったことではなく、
家光のように、名は男名のままの女大名も誕生することになる。

あの吉原も、男女逆転している。
すなわち、女が男を買う世の中、吉原も同じだった。
すっかり荒みきっていた吉原を、家光が再建させた。

家光は大奥の人員整理をし、解雇した百名の男達を、
吉原に送り込んだ。
そして、大奥にいた者のうち、比較的腕の立つ一部の男達には、
多額の俸禄を与え、
残りの者達が吉原から逃げ出さぬための監視役とさせた。
こうして、吉原の中の男達を、決して結束させぬようにしたのである。
暇金を与えられず、二本差しも奪われた残りの男達は、
瘡毒などの病気持ちの男達にも監視されながら、
そこで女達に体を売るしか術が無かった。
このようにして家光は、江戸市中の相場よりはるかに安い値で、
健康な男の体を女達に提供できる場として、
吉原を生まれ変わらせたのである。

男子が少ないこの状況下、吉原は単なる娯楽というだけでなく、
無くてはならない重要な役目を担うことになりますね。

そして、1巻で衝撃的だった、大奥のあの決まり事も、家光によって定められた。
これから先、もしまた女将軍が立つ事があれば、
その女将軍と契る最初の男は、大奥の中から選ぶ事。
そしてその男は必ず内々に死罪といたせ。
少女だった家光の負った傷と、女将軍として奪われるものの根深さを物語っていますが、
それが、「御内証の方」の始まり。

それから、春日局が亡くなって以来、空席になっていた大奥総取締の座に、
有功を就けることにする。
大奥総取締とは、大奥にいる全ての男達を束ねる大奥の頭。
大奥の中にいる者は、何事をするにしても、
この総取締の決裁を仰がねばならぬ。
この役職はオリジナルでもあるものを、そのまま男に置き換えたものでしょうが、
有功は大奥の長い歴史の中で、唯一の側室から選ばれた大奥総取締「お万の方」である。
「お万の方」はオリジナルの大奥でも有名ですが、
有功の苗字「万里小路(までのこうじ)」からとられている。
つくづくよくできているなぁと感心。

慶安二年、国の政にまで関わり、度々の出産と流産…
この国のために命を注ぎ込むように生きた女将軍・家光は、27歳の若さで亡くなった。
将軍が男だったら何人もの側室に産ませればいいけれど、
女だったら、相手は変わっても、自分で産まなくちゃいけない。
そんな中、政務も行って…なんて、こんな激務ないよ!と想像だけで恐ろしくなりました。

さて、家光亡き後、次の将軍となったのは、四代将軍・家綱。
家光の娘が女将軍となったのだが、わずか11歳でした。
14歳の年頃になっても、家綱の関心は能や狂言、水墨画にばかり向かっていて、
政にはほとんど関心を持っていなかった。
この時期、幕藩体制は固まり、優秀な側近官僚によって、幕政は安定していた。
側近達からの進言に対して、何でも「左様せい」と言うことから、
「左様せい様」と渾名される始末。

そして14歳といえば、婚儀をするお年頃。
御台所を迎える準備と同時に、例の御内証の方も選ばれた。
そして掟に従い、御内証の方の務めを果たした倉持は、翌日、死罪に処せられた。
周りの大人達の言われるままに従っていた家綱だったが、心の内には有功だけがいた!
外見だけでなく、これだけ頼りになる大人の男性が近くにいたら、
どの男たちも目に入らなくなっちゃうよね…。
家綱の気持ちを知った有功は、大奥を去ってしまう。
唯一自分の気持ちを伝えられても叶わず、結局その時に出た言葉も「左様せい」だったこと、
その時の表情の描写に、鳥肌が立ちました。

その後、家綱は京から浅宮顕房を御台所として迎える。
家綱は41歳で没するまで、ついに誰との間にも子を生す事は無かった。
残念ながら、将軍の器ではなかったのですねぇ。

家綱の死後、将軍の座に就くのは、
玉栄の娘、舘林藩主の綱吉である。

ところで吉原が男女逆転していると書きましたが、歌舞伎界も同じ。
女の役者が演っている男なので、今で言う宝塚のイメージ?
団十郎が出てきても、通常の歌舞伎と全く違和感ないですが、女です。

五代将軍綱吉は、そんな華やかな元禄の時代に君臨した将軍。
その綱吉の父は、今や僧形となって「桂昌院」と呼ばれていますが、
かつて有功の部屋子から家光の側室となった玉栄である。

綱吉はとにかく、大奥の男達には退屈していた。
そこで、御側用人の柳沢吉保は、江戸城の外で、
能楽の楽しむのはどうか、と提案する。
その催しの場として選ばれたのが、同じく御側用人である、
牧野備前守成貞のお屋敷であった。

成貞はいずれ劣らぬ美しい男達を用意したが、
綱吉のお気に召したのは、成貞の夫である阿久里こと牧野邦久だった。
それから綱吉の牧野邸へのお成りは、実に32回にも及んだ。

いかにも君主らしくわがままぶりを発揮する綱吉。
そのまわりには欲望が渦巻いていました。
綱吉の寵臣として名高い、柳沢出羽守吉保。
綱吉のために家族を失った成貞が御側用人を隠居した後、
吉保は綱吉のもとで絶大な権力をほしいままにする事になるのである。
御代所の信平もまた、側室候補として京から右衛門佐という男を呼び寄せる。
この男もまた、何やら狙いがあるようで…。

大奥の醍醐味であるドロドロが好きな方には、待ちに待った展開なのではないでしょうか。



大奥 第4巻 (ジェッツコミックス)

大奥 第4巻 (ジェッツコミックス)

  • 作者: よしなが ふみ
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2008/12/24
  • メディア: コミック



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