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スポーツ

東京事変4枚目のアルバム。
テーマは「スポーツ」ということで、
演奏のダイナミズムとプレイの快楽を追求したアルバムとなっています。
ジャケットの金メダル、ブックレットには金メダルを首からかけたメンバーたちの写真など、
折しもオリンピックイヤーの今年に聴き直したくなりました。
五輪と同様、メンバーも5人だしね。

林檎ちゃんは、本作において、二つのルールを定めていたそうです。
一つは個人的なもので、「言葉で意図しない」ということ。
ギリギリまで歌詞は考えずに、それとの兼ね合いを全く無視してアレンジも構成、
仮歌をこなしていきました。
演奏の自然な流れや音の快楽を追求すれば、言葉は最後におのずと出てくるはずで、
それを感知しようとだけ考えていたとのこと。
まさに、「音楽家」としての究極で、根本的なものを体現するかたちですよね。

もう一つはバンド全体に課したルールで、
「やったことない」や「やりたくない」とは言わせないこと。
楽器も歌も、頭や意思でコントロールせずに、
体を通して、自然に「鳴ってしまった」「声が出てしまった」
というところまで到達したかったので、あらゆる可能性を試してみようとした。
なんというプロ意識!

そんな彼らは今年、再結成したので、これからの活動も楽しみです。


生きる
アルバム冒頭で5人の登場シーンの演出を、声やサウンドだけで見せる役割の曲。
ゴスペルのような1番は、林檎ちゃんのボーカルと伊澤さんの生歌の多重録音によるもの。
2番で突然バンドが登場する構成となっていて、まるで舞台の幕開けのように感じられました。

歌詞も本作のテーマの根幹に関わるもので、
「孤独」と「自由」が歌われています。

電波通信
電子音が多用されている楽曲。
ダンス・ミュージックのような太いビートの曲なのですが、実は生演奏なのです。
まるでメンバーの技量が試されているかのよう。

シーズンサヨナラ
シンプルな音でわかりやすいバンドサウンドなんですけど、
それでも巧みな技が随所に散りばめられている、油断ならない曲です。


勝ち戦
タイトルに反してスポーツを意識せず書かれた曲なのです。
林檎ちゃん曰く、簡単に誰でも作れて誰でも材料が想像できるという、
「居酒屋のお通しのような曲」で、各メンバーの個性や仕事が浮き彫りになる楽曲とのことです。
「居酒屋のお通し」とは、これまた面白い表現。

FOUL
林檎ちゃんの声に加工がされていて、
コンサートで披露する際は、林檎ちゃんは拡声器を使用して歌います。
浮雲さん曰く「殴り書きみたいな曲」、伊澤さん曰く「演奏を呼ぶ曲」。

雨天決行
伊澤さんが、林檎ちゃんが歌うことを意識して書いた、女性しか歌えない曲とのこと。
確かに、女性らしいメロディアスな林檎ちゃんの声が印象的です。

能動的三分間
主に打ち込みのグルーヴによって生み出されるファンクやヒップホップにも通じる、
ダンサブルなサウンドが特徴の音楽ジャンル、
ニュージャックスウィングの楽曲を楽器で生演奏したらどうなるかということに、
バンドで挑戦した楽曲です。

「ポップスのヒットチューンは3分」という黄金律で東京事変が曲を作れば、
こんなに格好よくなり、しかも売れるというユーモアをまじえたコンセプトに基づき、
楽曲制作はまず収録時間を3分間に決めることから始めました。
BPMは林檎ちゃんがいつも最初のセッティングをそうしてしまうという癖から120に決まり、
「BPM=120というテンポなら1小節2秒×90小節演奏するとちょうど3分間になる」
という計算で作られているのです。
収録時間やBPM以外にもテーマの多い曲で、
他にも「16分音符がシャッフルしていると速く、あるいは躍動して聴こえるか」
「ムーンウォークの練習をするための曲」などのいろんな理屈がありました。
確かにムーンウォークしたくなる。できないけど。
PVの中でメンバーもムーンウォークを披露しています。

林檎ちゃんのムーンウォーク構想のきっかけは、楽曲制作当時に亡くなった、
マイケル・ジャクソンの映像を見たこと。
林檎ちゃんもリアルタイムでマイケルを聴いてはいたけど、パフォーマンスの方はあまり見ていなくて、
そこで改めて映像を見直したところ、バンド内でブームとなったそうです。

作詞・作曲は林檎ちゃんが手掛け、編曲・プロデュースをバンドメンバー全員で行っています。
歌詞は英語詞と日本語詞が入り混じる構成。
サビ部分では浮雲さんと伊澤さんにより、コーラスが歌われています。

林檎ちゃんの中ではバンドが次のステップに進むための練習曲のような意味合いがあり、
自身を除く4人に演奏する際に出して欲しいノリを体得してもらうために作っていて、
そのノリについてはなかなか全員での共通認識を持ってもらえず、難航したようです。

そんな苦労も経て生まれた曲ですが、
聴き手側からしてみれば、今までとは違い、
難しいことを考えることなく、純粋にノリに委ねることができる、
聴きやすい曲、聴いて心地よい曲だと思いました。

絶体絶命
伊澤さんの曲に林檎ちゃんが手を入れた共作曲で、
歌モノとして成立させるために林檎ちゃんがBメロを加えたとのこと。
途中から林檎ちゃんの声がガラッと変わるんですよ。ものすごく振れ幅が広い!

FAIR
浮雲さんのストック曲で、前作でも候補曲に挙がっていたそうで、
林檎ちゃんが以前からやりたがっていた曲なんだそうです。
クラブミュージック的な要素があって、
今までは和製の曲調で聴いていたような林檎ちゃんの声も似合います。、

乗り気
伊澤さんが、「キーボーディストとして特にハードルが高い曲」として、この曲を挙げています。
理由は曲のアレンジが変わるのにあわせて、自身のプレイも現場でどんどん変えていき、
そこに必要であろうという新しいアプローチを取り入れてやれたから。
聴き手側としては、曲調がくるくる変わって面白いなぁと。

スイートスポット
伊澤さんと林檎ちゃんの共作曲。
伊澤さんがデモを林檎ちゃんに渡したところ、
それをモチーフに原曲とはまったく違うテイストの曲に仕上げられたそうで、
もとは伊澤さん曰く「アジアっぽい感じ」だったのが、
ブラックミュージック色の濃い曲となりました。
こういう曲調は今までなかったですね。

閃光少女
実は前作のアルバム「娯楽」制作時のセッション中に製作され、
そのリリース直後のライブツアーで新曲として発表された楽曲なのです。
「初めて曲に接する時は、正面から向き合って生で聴いて欲しい」という、
林檎ちゃんをはじめとするメンバーの希望から、発売前に生演奏で初披露する形がとられました。

この曲は、亀田さんが作曲し、それに林檎ちゃんが歌詞をつけたものです。
亀田さんは、真冬の夕暮れ時に見かけた、
ダウンジャケットを着てフードを被って天真爛漫に歩いている12,3歳の少女の現在と未来に思いを馳せ、
「この子の将来って、誰に出会って、どういう人生を送るんだろう?」
と心配になって忘れられなくなり、形に残すべく曲にしたと語っています。
だからそんな少女のイメージなんですね。
ただ、それほどまでの印象を残した少女って、どんな子だったのだろう?

極まる
タイトルは「きまる」と読みます。
6分越えの長編で、東京事変の全楽曲の中でもっとも演奏時間が長いのです。
孤独や絶望という意味では、1曲目の「活きる」とつながっていて、完璧なシンメトリーです。



スポーツ

スポーツ

  • アーティスト: 東京事変
  • 出版社/メーカー: EMI Records Japan
  • 発売日: 2010/02/24
  • メディア: CD


1.生きる
2.電波通信
3.シーズンサヨナラ
4.勝ち戦  https://youtu.be/Q6MGExmhiHM
5.FOUL
6.雨天決行
7.能動的三分間 https://youtu.be/NTKwzRAdY7w
8.絶体絶命
9.FAIR
10.乗り気
11.スイートスポット
12.閃光少女 https://youtu.be/5jsdarfpsLk
13.極まる
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