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新世紀エヴァンゲリオン 9

この巻は、私を含むアスカ派にとって、辛くなる一冊でした。
アニメでこういう展開になるのはわかっていたのですが、
貞本エヴァはアニメよりもより内面描写が緻密なので、それがまた苦しい…。

アスカの生い立ちといえば、人工受精で生まれた試験管ベビー。
それ故にアスカは「自分は特別な存在である」ということを豪語していましたが、
それは母親によって徹底的に叩き込まれたんだと思います。

アスカの母は子どもができにくい体質のようで、自分の子宮で子を宿すことはできなかった。
そこで体外受精で授かった子どもがアスカだというわけ。
残念ながら父親は自分の愛した夫ではなく、他人だった。。。
このことが母親から脈々と続く人格形成に歪みを引き起こすのです。

やっぱり女性たるもの、自分の愛する夫との子どもが欲しかった。
でもそれが叶わなかったため、せめて子どもの父親が特別な存在だとすることで納得させようとした。
またその観念を娘にも押し付け、特別な父親から生まれた特別な子どもだという価値観を植え付けた。
その結果、満たせなかった心のアンバランスをきたし、母は自殺する。
その最期は壮絶なものでした。
実の娘がお見舞いに来ても全く見ず、手の中の人形を自分の子どもだと思いこみ、話しかけていました。
そして最期は首をくくってしまった…。

アスカは母の期待に応えるために、振り向いてもらうために、一生懸命だったのです。
だからエヴァのパイロットとして選ばれたことには絶大な意味がありました。
親の期待に応えようとするシチュエーションはよくあるけど、ここまで切実で壮絶なのはそうそうないです。
それからのアスカは優秀なパイロットとして訓練に励んできましたが、
いざ実戦で自分が倒した使徒は1体のみ。
それも完全なる独力ではなく、太平洋艦隊の力を借りて。
このことでアスカのプライドはズタズタに傷ついてしまいました。
そしてシンクロ率は下がる一方…。パイロットとしてのアスカは窮地に立たされていました。

そんな中、使徒がまたやってくる。
この使徒は衛星軌道に浮かんだまま、一向に近づいてこなくて、超長距離射撃をもってしても射程距離圏外。
後がないアスカは、周囲の反対を押し切って出撃するも、使徒の心理攻撃にあってしまった!
今まで押し隠してきた精神をさらけ出されたアスカは、精神汚染で危険な状態に…。
このシーンが本当にもう痛々しくて…。
結局この使徒は、レイがロンギヌスの槍を投擲して殲滅したものの、回収されたアスカはもぬけの殻状態。
それだけ精神に負荷がかかったってこと。
それまでも相当無理してやってきたんだろうなって思うし、こんな形ではあるけど少し休ませてあげられたらいいな、とも思う。

そのアスカの代わりにきたフィフスチルドレンが渚カヲル。
アニメでも絶大な人気なので、説明不要だと思いますが、
アニメでは1話限りの敵キャラだったのに対し、コミック版では登場シーンが多い。
しかもシンジがカヲルに対して明らかに嫌悪感を抱いて、はっきり態度に表しているんです。
この巻に限らず、コミック版のシンジはわりとしっかり自分の意思表示をしてる気がする。
なかなか男らしいシンジが見られるのも、貞本エヴァの特徴じゃないかと思います。



新世紀エヴァンゲリオン (9) (カドカワコミックス・エース)

新世紀エヴァンゲリオン (9) (カドカワコミックス・エース)

  • 作者: カラー・GAINAX
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2004/04/23
  • メディア: コミック



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