SSブログ

Dr.コトー診療所 10

最初のお話は、かつてコトー先生と同じ大学病院にいて、
一時は対立していたこともあった、三上新一先生の話。
いろいろあってコトー先生の医師としての在り方に感化され、
今は三上先生も別の島で離島医療に携わっているのです。

そんな三上先生が遭遇したのが、余命わずかな重病患者の達雄さん。
残り少ない生の中で、三上先生はどうしてあげたらいいのか悩んでいました。
前にコトー先生にも似たようなエピソードがありましたよね。
そんなコトー先生に、三上先生はアドバイスを求めようとします。
ところがコトー先生は、医者として言えることは何もないと言う。
でも、患者さんの立場に立った見解として、こう告げます。

生かされていると感じてる患者さんは、自分から生きようとはしてくれない。
生きているという実感があって、初めて生きようとしてくれる。

患者さん一人一人と向き合う度に、その人の人生を見つめてきたコトー先生の、
含蓄のある言葉ですね。
この言葉で三上先生も気づかされたようです。
元杉職人の達雄さんが大切にしていて、死の床に伏せても気にしていたもの。
それは達雄さんが管理してきた杉林。
杉は枝打ちをしたり手間をかけてあげないとすぐダメになるそうで、
達雄さんが倒れてからは放置状態でした。
それに気づいた三上先生は、島の杉職人に頼みますが、人手不足でなかなか快諾してもらえず…。
無謀にも三上先生自ら杉に登ることに!
あまりの熱意に感化され、島の杉職人たちが、達雄さんの杉林の枝打ちをしてくれました。
その音を聞きながら、達雄さんは安らかに旅立っていったのでした。

残りの人生をどう過ごしてもらうかという終末期ケアの問題は、
医者だけじゃなく、家族や周囲の人が一体になって考えなくてはならない課題だと思います。
達雄さんのように穏やかな顔で最期を迎えてもらえたら最高のエンディングでしょう。
それにしても、大学病院時代は出世欲や権威の渦の中でもまれていた三上先生が、
たった一人の患者さんのためにここまで奔走して、どんどんコトー先生化していってます(笑)

続いては、和田さんの奥さんの環さんが大学時代に同じサークルの先輩だったという人がやってきて、大騒動になる話。
その先輩、杉本先輩は健康食品のコンサルタントをやっているそうですが、仕事で近くの島に来たとのことで、
環さんのもとを訪れてきました。
そして、島の何か健康食品のネタに使えそうなものはないかと持ち掛けてくるのです。いかにもアヤシイ。
今や島に普通になじんで生活している環さんには、そんな物珍しいものなど思い当たることもなく、
いつも通りに研究材料を採取しに行きました。
そこへ杉本先輩もやってきて、島の湧き水に目をつけます。
現実でも各社で据置型のミネラルウォーターを出していたり、水ビジネスはエライことになってますからね。
ところがこの杉本先輩は湧き水に微量の市販薬を混ぜたものを巧みな話術で島人に配りはじめ、
そんなカラクリなど知らない島人はすっかり信じ込んでしまって大騒ぎに。
市販薬とはいえ、ロキソニンは医師の処方や薬剤師など、許可がないと買えないものだし、胃を荒らす副作用もある。
実際、水を飲んだ島人が胸やけや腹痛を訴え、杉本先輩は真実を話した上で島から出ていきました。
しかし、和田さんの男気が素晴らしかったなぁ。
奥さんがお世話になった大事な先輩だからって疑うこともせず、ペットボトル10本以上も水を飲むなんて…。
今時ここまで体はれる人いないよ。

それから、生まれてこのかた病気をしたことのない人の話。
その人は阿部洋介さん。当然、診療所にも来たことがありません。
島の郵便屋さんとして、これまで無遅刻無欠勤、遅配や誤配もなく定年を迎えようとしていました。
その前日、万全を期すため、初めて健康診断にやってきたのです。
結果はどこも問題なく、まさに健康そのものでした。
そしていざ定年当日。
まさに最後の速達を届けるために、山を越えようとしているその時でした。
道の脇に事故車両の自動車を見つけて近づいてみます。
すると産気づいた妊婦さんが乗っていました!
意を決した阿部さんは、妊婦さんを自転車の荷台に乗せ、診療所まで山を下っていきました。
どうにか無事に出産できたものの、阿部さんは産後の赤ちゃんを見ることもなく、
最後の速達を届けに行っていました。
本当に郵便配達の仕事が好きで生きがいなんですね。
こういう人は定年後にガクッときてしまうことが多いので心配ですけど、
後継者がいないので、しばらく定年延長になったそうです。めでたしめでたし。

最後にコトー先生の隠れ肥満が発覚するほのぼの(?)エピソードもあり。
健康診断は定期的にやっといた方がいいですね。←私も他人のこと言えず。


この巻が発売された頃、ちょうどドラマが始まった時期でもありました。
巻末にドラマのキャスト紹介が載ってます。原作のキャラクターと比較すると面白いですね。
またコトー先生のモデルになった、下甑島で医師をしている瀬戸上健二郎先生の取材記も掲載されてます。



Dr.コトー診療所 (10) (ヤングサンデーコミックス)

Dr.コトー診療所 (10) (ヤングサンデーコミックス)

  • 作者: 山田 貴敏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/07/05
  • メディア: コミック


絶海の孤島・古志木島の小さな診療所で
数々の難手術を成功させるDr.コトーこと五島健助。
コトーにあこがれ、ある離島の診療所で医師として働く三上新一は、
重病に冒され生きる意欲を無くしてしまった元杉職人を前に、何もできずにいた。
ある日彼は、コトーのアドバイスを元に
患者を生かそうとして思い切った行動に出るが…?
奇跡と感動の離島医療物語。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0