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D-妖兵街道

今回のDは登場人物のキャラクターが際立ってて、やり取りが面白かったです。
次々といろんなことに巻き込まれていってなかなか話の本筋が見えなかったのも、
どんどん先が読みたくなるポイント。

何といっても注目すべきなのはベアトリス
文体にもめずらしく文字サイズを大きくする装飾まで施されるほど女名前を強調され、
作品中でも散々からかわれているんですが、実際は巨漢の小父さん。
本人は隠しているけど、昔は名の知れた貴族ハンターだったようで、Dも彼のことを知っていたようです。
何らかの事情で今は表立った活動はしていない、どこか憎めない人。
本人があんまりハッキリ言おうとしないから憶測でしかないのですが、3歳の時に手放した息子の学費を稼ぐために、
あらゆることをしてでもお金を稼ごうとしているのでしょう。
今回Dの仕事に同行したのもそんな理由じゃないかな?

体格から連想できるように、豪快な戦いぶりで気前の良さも見せつつ、
お金にはケチだったり、自分自身のことになると自虐的になるのが人間らしくて、
左手はもちろん、あのDですら時々突っ込んだりする。
結構Dはこういう人間くさい態度に好感を持ちやすいみたいですね。
絶対的な力を誇る貴族が自嘲的になったりすることなんてないものね…。

今回のミッションは、貴族がこしらえた傭兵が甦り、街道沿いに住む住民を救出すること。
貴族がこしらえた傭兵なんで、妖兵と呼ばれる。
ところが街道で暴れてるのは妖兵だけじゃなく、町の銀行を襲って逃亡した強盗がいたり。
その強盗の中にタダモノじゃない奴がいたり。妖兵をこしらえた貴族が親子で甦ったり。
事態はどんどん膨らんでいく。
最後の最後まで土壇場でした。

ミッションに参加したのはDだけじゃなく、別の戦闘士も雇われていた。
それがストライダーとスタンザ。
中盤で負傷して、ベアトリスがやってきてからというもの、ほとんど戦闘士らしい活躍をしてない気がするのですが…(笑)
ストライダーはまだしもスタンザは残念だったな。
結構芯の強い女戦闘士だと思ったんだけど、憑かれたとはいえ戦った相手が悪かったね。
Dは女にも容赦しないから。
街道に残されていた農家の娘イレーネも、やり切れなかったなぁ。。。
まぁでもイレーネはヒロインじゃなく、終始ミステリアスでトリッキーな存在だったからな。

最後の最後に「え、どうなるの?」と思わせる終わり方が、1作目のDみたいで懐かしい感じがしました。
Dが最後に微笑するのは、初期には必ずと言っていいほどあった演出(?)なんですけど、今回また復活しててよかった。
そんな微笑を浮かばせたフランコ・ギルビー少年は、きっと優秀で立派な大人になることでしょう。
Dを微笑ませた人たちリストを作ってみたい(笑)



D-妖兵街道―吸血鬼ハンター 14 (朝日文庫―ソノラマセレクション (き18-25))

D-妖兵街道―吸血鬼ハンター 14 (朝日文庫―ソノラマセレクション (き18-25))

  • 作者: 菊地 秀行
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 文庫


ボセージの町から今は廃墟と化した貴族の城へと延びるフローレンス街道に、かつて貴族がこしらえ、恐怖の的となっていた傭兵が甦り、住民を襲いはじめた。
町は救出チームの派遣を決定し、Dと男女二人の戦闘士が依頼を受けて死の街道へ乗り出した。
逃げ遅れた少女を拾い、巨漢の元貴族ハンターや強盗団のリーダーまでを巻き込みながら、奇妙な混成部隊は、傭兵の執拗な攻撃の中を貴族の廃城へ向かう。
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