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オー!ファーザー

一言で言うと、4人の父親を持つ由紀夫という少年の、冒険物語です。
生物学的にはもちろん誰か一人の息子なのでしょうけど、
それは明かさず(由紀夫本人はもちろん、父親たち自身もわかってない)、
由紀夫の母は4人全員と結婚し、4人が父親を名乗り、同居しています。
こういうのって、普通はDNA検査とかして父親を特定するのでしょうが、
誰もがそれをせず、普通に家族として暮らしているのが凄いですね!

4人の父親がまた、個性が全くバラバラで。
ギャンブル好きの鷹、最年長で大学教授の悟、
女の扱いが上手い葵、中学校の体育教師でバスケが得意な勲。
この4人それぞれに由紀夫は色々なことを教わり、
それぞれの良いところを受け継いでいるのかな、と思いました。

そんな由紀夫が、いろんなことに巻き込まれていきます。
・同級生の多恵子に強引に誘われて、不登校の小宮山の様子を伺いに行く。
⇒なんでこんなに多恵子が小宮山にこだわるのかは謎ですが。。。
これが後々大きな事件になるのですが、
それにしても多恵子の嗅覚には毎度驚かされます。

・ドッグレース場で重要そうな鞄のすり替えを目撃してしまう。
⇒まるでドミノのような巧妙な手口で、手際よく鞄が運ばれていきます。
由紀夫は携帯も持ってないのに、一人で途中まで追跡するのですが…。
これ、細かい分担作業になっていて、今はやりの闇バイト的な感じなのかな、と思ったり。

・中学時代の同級生、鱒二がチンピラに絡まれているところに遭遇
⇒由紀夫に鱒二って、すごい名前のコンビだな。。。
鱒二には以降、由紀夫がさんざん迷惑を被っていきます。
鱒二のキャラクターがまた憎めないというか、
絶対やっちゃいけない時にやらかしてしまうんですよね。
由紀夫も鱒二にはほとほと呆れつつ、ほっとけない。
鱒二に絡んできたチンピラ=「牛蒡男」が、執拗に由紀夫と鱒二を追いかけてきます。

このどれもが大きな事件となっていくのですが、
何よりも恐怖を与えてくる不気味な存在が富田林。
賭場を仕切っているドンで、怒らせると怖い人です。
鷹が知り合いで、他の3人の父親も由紀夫も面識があるのですが、
誰もが富田林のことを恐れている。

その富田林も絡み、由紀夫も家族を巻きこんでの大ピンチに!!
今までもこの家族はピンチを切り抜けてきたのですが、果たして…。
ひとつ言えることは、由紀夫は家族に一番愛されている存在ということです。

そして、残業やら出張やらで全く登場しない母親。
4股してたなんて、どんな女だ!?と思うのですが、
一瞬だけちらっと登場しただけで、全て持っていかれました!
この人は、モテるわ。。。




オー!ファーザー(新潮文庫)

オー!ファーザー(新潮文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/11/22
  • メディア: Kindle版


父親が四人いる!?
高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。
個性溢れる父×4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件——。
知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。
多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。
伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。

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