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大奥 8

江戸中期。
江戸時代も折り返しになりますが、
この頃からいろんなことが動き始めたような気がします。

八代将軍・吉宗の晩年。
次期将軍として、長女の家重か、次女の宗武かで争われていました。
ただ、家重は言葉が不自由だったこともあり、廃嫡案まで出る始末。
しかし、結局、吉宗の意向は、家重を九代将軍とすることに決まりました。
この決意した瞬間の将棋のシーン、痺れたなぁ。

吉宗が将軍を辞して、家重が将軍となった後も、
吉宗は「大御所」として、家重の背後で幕政に影響力を持ち続けていました。
徳川家重って、他でもあまり聞かないなぁと思うのですが、
言葉がうまく喋れなかったというのは史実としてあるようです。
今で言う脳性マヒだと言われているようですね。
当時の日本の医療では、正しい診断ができなかったのでは?と思いますが…。


話は変わり、とある料理人の話に。
善次郎は柳橋の料亭「かね清」で、
女ばかりの中、黒一点の板前として働いていた。
その腕は確かなもので、焼き方まで任されていた。
ところがこの男女逆転の世界では、男はどう頑張っても板長にはなれず、
女将から暇を言い渡されてしまった。

そんな中、板長から大奥の御膳所で働いてはどうかと勧められる。
かくして、善次郎は「芳三」と名を変えて、大奥で働くことになった。
※たとえ下働きの者といえども、大奥に入る者は新しい名を与えられる。

ところが、将軍と御台所の食事を作るものと思っていたが、
それは中奥で作られているようで、
大奥の御膳所では運ばれてきた料理を毒味し、温め直すだけだった。
しかし、「お他物」と言って、主菜以外の副菜や香の物などは、
大奥で作って出しているとのこと。
こういう細かいことは教科書にないので、面白いですね。

そこで、芳三は腕をふるい始める。
時折、同僚たちのしごきにあいながらも、
芳三は真摯に料理に向き合っていた。
あい変わらず、調理法について丁寧に描かれているのは、さすがですね!!

ある時、大奥で刃傷沙汰が起きた。
家重をめぐり、一番の側室であるお幸の方が、
次に側室になったお千瀬の方を斬ろうとした。
お世継ぎの父上でもあったお幸の方は、死罪にすることもできず、
座敷牢に閉じ込められて、塞ぎこんでいた。

そこで、当時の大奥総取締であった杉下から、
お幸の方に食事を作るよう、芳三に声をかける。

生きる気力を失ったお幸の方に、どうしたら食べてもらえるか、
芳三は試行錯誤する。
そしてついにお幸の方が心を開き、芳三の料理に口をつけるようになった!

それから、芳三がお幸の方に出した料理が、鰻の蒲焼き。
当時、鰻は屋台で丸焼きにしたものに、
山椒味噌を塗って食べていて、
馬子や駕籠かきなどの力仕事をする者たちが食しており、
とうてい大奥にあがるような食材ではなかった。
今の高級なイメージとは全然違いますね。
ただ、今のような蒲焼きとして出されるようになったのは、
江戸中期頃からなんだそうです。
蒲焼きの由来は諸説あると思いますが、
ここでは、焼いた色が樺の皮に似ているから、という説明をしています。

美味しい鰻に、すっかり心を開いたお幸の方は、
涙ながらに心情を吐露するのでした。

その後、没するまでの間、度々鰻の味を楽しんでいたとか。
その美味しそうに食べる描写がすごく微笑ましくて、
あ~、鰻食べたくなってきたな。


さて、吉宗を支えてきた、杉下、久道が亡くなっていき、
とうとう吉宗本人もこの世を去りました。
吉宗は教科書にも載るようないろんなことをやったけど、
やり残したこともある。
その遺志を、田沼意次が継いでいきます。
これから動きだしていきそうな期待感もありますが、
でもやっぱり吉宗という人はターニングポイントであって、
すごい人だったんだなぁ~、と思いました。



大奥 8 (ジェッツコミックス)

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  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2014/08/28
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