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ガーネット オペラ

戦国武将の花形と言ったら、織田信長!!
その信長を演じさせたら、この人の右に出る者はいないでしょう!
と個人的に思っているのが、西田大輔さん。
劇団を主宰しているだけあり、染み出るオーラやカリスマ性が凄い!
まさに根っからの殿です。
そんな西田さんが描く信長の物語は、戦国のオールスター勢ぞろいの華やかなものになりました。

柴田勝家・木下藤吉郎・前田利家・徳川家康…
上杉謙信・武田勝頼・真田幸村・長宗我部元親…
聞いたことのある名前ばかりですが、それぞれの性格についてまではわからない。
それもそのはず、そんなことどの歴史資料にも書いてないのです。
だから想像するのは自由。それが歴史モノの醍醐味だと思うのです。

織田軍配下として登場するのは、勝家・藤吉郎・利家・家康。
藤吉郎は後の羽柴秀吉だし、家康は言わずもがなの有名ドコロが並ぶ中、
柴田勝家は自分の名があまり知られてないことを気にしていました。
信長が生まれた時からずっとそばにつき従っていた家臣なんですけどね。
前田利家も大河ドラマになったおかげで有名になり、
そんなことをくよくよ悩んだり、必死になったりする、
なかなか憎めない個性的なキャラクターで描かれています。
作家や演者が妄想しやすいのって、こういうところですよね。
いつかそのうち、勝家が主役の大河ドラマが放送されたりして。

あと、織田の家臣として忘れてはいけないのが明智光秀。
この人のことは後ほど語ります。

織田に対抗する大名として、越後の謙信に甲斐の勝頼、四国の長宗我部。
彼らを一同に集めて、信長はゲームを始めるのです。
彼らの本気を試すために、彼らの宝をかけて。
武将たちは困惑し、ゲームはなかなか進まないのですが、
徐々に自分たちの大事なもの=宝は何か、それを守るための覚悟はいかほどのものか、
それらがわかってくるのです。
また、それと同時に信長の真意もまた…。

信長が人を惹き付けるのは、その散り際だと思うのです。
あれだけの威厳を持った武将が、何故あっさりと命を落としてしまったのか。
信長の生涯を語る上で欠かせない「本能寺の変」。
ここには西田さんの想像と、西田さん自身とも重なるような後輩へのメッセージが託されている、
そんな気がしたのです。

歴史上、「本能寺の変」を起こした謀叛人とされている明智光秀。
この人はひたすら、石山本願寺の降伏を試みていました。
何度か足を運んでいるうちに、そこに住む熙子と心を通わせるようになる。
本願寺に咲くざくろに惹かれた二人。
その描写がとてもロマンチックだなぁと思いました。

信長を取り巻く女性たちと言えば、妻のお濃と妹のお市ですが、
この二人についても後ほど語ります。

ところで、この奇妙なゲームを持ちかけたのはルイス・フロイスという宣教師。
信長自身はキリシタン大名ではなかったかと思いますが、
その出で立ちといい、南蛮の影響は大いに受けていたかと思われます。
こうして南蛮の影響もありつつ、変わっていくべき時代だったんだと思います。
室町幕府最後の将軍・足利義昭が情けなく描かれてしまうのは、
そんな勢いのある戦国の猛者どもに圧されてしまったからなのでは!?
なんて、想像するとキリがなく、面白いですね。


さて、この戯曲にはもう一遍、「帰蝶」という作品が収められています。
これは本編よりも前、お濃が帰蝶という名で呼ばれていて、
信長の妻になる少し前からの話。

お濃もとい帰蝶は、「マムシ」と呼ばれた美濃の大名の斉藤道三の娘。
信長のもとに嫁ぐことになったのは、もちろん政略結婚にほかなりません。

この時代、武家の女が家の為に嫁がされるなんて当たり前のこと。
信長の妹・お市もまた、浅井長政に嫁ぐことになっていました。
二人とも、女の意思などお構いなしに勝手に決めてしまう男たちに、辟易していました。
特に帰蝶は激しい気性の故、なんと信長のもとに直接断りに行くのです!
ところが、信長が帰蝶をもらうのは、あながち政略結婚の為だけでもないようで…。

ストレートではないですが、ここでも信長の愛情表現が描かれます。
二人の距離を近づけるキッカケとなるのが、やっぱりざくろ。
どうしても石山本願寺を手に入れたかったのは、見事なざくろをプレゼントしたかった、
そんな単純な理由だけだったのかもしれないですね。
やっぱりロマンチストだなぁ。

上演時期が1月だったので、新年の挨拶など、お正月仕様の演出があります。
ここはもちろん時期に合わせて変えていただいていいと思うんですけどね。
その中でお正月らしくガチで羽根つき勝負をするところがありまして、
負けたら顔に墨で落書きされます。
こういう遊びでももちろん本気です!






ガーネットオペラ

ガーネットオペラ

  • 作者: 西田 大輔
  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 単行本



楽しめよ。
但し、本気でな。
戦乱の1582年、第六天魔王・織田信長は、天下布武の真っ最中、
安土の城に家臣を集め龍の刻印が記された宝箱を置いた。
「七日の月を数える間、この宝箱を見つけたものに褒美をつかわす」
豊臣秀吉、明智光秀、徳川家康、前田利家、上杉謙信、武田勝頼…
歴史上のオールスターがここに集結し、命をかけた宝探しが、今、始まる。


天より縛られし月が満ちるその時こそ、
このゲームの始まりとしよう。

欠ける事のない月を手に入れた者こそ、
この宝箱を開けるべく選ばれし者

これはゲームである。そして、物語である。





タグ:西田大輔
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