SSブログ

Dr.コトー診療所 18

前巻で星野さんの乳癌が見つかり、コトー先生と一緒に治療を始めることに。
まず化学療法(抗癌剤治療)を行い、胸の腫瘍を小さくしてから手術をしようということになりました。
この抗癌剤治療がキツイってよく聞くけど、
心が通じ合ったコトー先生が一緒だし、島のみんなも応援してくれるので、
頑張れるかな?と思いつつ、そう順調にいかなかった。

3か月の化学療法の末、腫瘍径は4cm強にまで縮小されたことが確認できました!
ただし、仮に転移があった場合、リンパ節郭清になる。
そうなると看護師としての復帰が難しくなり、星野さんが最も望まない結果です。
転移がないことを祈りつつ、2週間後にはオペをすることに。
執刀はもちろんコトー先生、助手には江葉都先生に依頼しました。
設備の都合上、鳴海先生の病院を借りますが、鳴海先生はあくまで傍観するだけという。
どこまでも嫌味な態度をとる鳴海先生。
しかし、江葉都先生に会った途端、様子が変わり、ここに何か因縁があるようです。

江葉都先生と鳴海先生が初めて会ったのは10年前、まだ鳴海先生が研修医だった頃のことでした。
仕事はずば抜けてよくできて、知識も豊富だった鳴海先生は、
他の研修医かたも一目置かれる存在でした。
ただ、江葉都先生は、そんな彼の持つ絶対的な自信には、ある種の危うさを感じていたという…。

鳴海先生が当直の夜のこと。
病院の駐車場に酒気帯びで突っ込んできたバイクに、鳴海先生が跳ねられた。
電話で呼び出された江葉都先生は、脚を切断するか否か、決断を迫られていた。
というのも、鳴海先生の脚は、右膝から下腿にかけて、原形をとどめないほどクラッシュしていた。
薄れていく意識の中、鳴海先生が懇願したのを聞き入れ、できる限り修復することに。
江葉都先生の腕をもってしても、原形をとどめるには至らず、
拘縮したような下肢を残すのが精一杯だった。

1か月後、鳴海先生はまともに歩行できる可能性もない脚を引きずって歩く。
そんな彼の耳に入ってくるのは、江葉都先生への称賛の声だった。
鳴海先生にしてみれば苦痛だったでしょう。
やがて、懸命なリハビリにもかかわらず、鳴海先生の脚の機能は回復するどころか、
血行障害を起こし、黒く変色し始めた。
鳴海先生はそのことを隠し続けた結果、気づいた時には脚先は壊死し、敗血症を起こしていた。
切断しても鳴海先生の命が救えるかどうかの瀬戸際だったが、
江葉都先生は膝下10cmのところを切断し、何とか一命をとりとめた。

その頃から鳴海先生の態度は急変した。
そして、ファントムペイン(幻痛)に悩まされるようになったのも、その頃からだという。
以来、医師として復帰した鳴海先生の治療は、常軌を逸していると思えるような事例が相次ぎ、
彼の腕なら当然再建できると思われる四肢の骨折であっても、簡単に切断してしまうようになった。
やがて、その行為がエスカレートする前に、鳴海先生には病院をやめてもらうことになった。
この時点で、鳴海先生の症状は根治できていなかったのではないか?と思われる。
もしそれであるなら、鳴海先生は江葉都先生に対して、大きな憎しみを抱いているに違いない。

そんな過去を聞かされても、コトー先生は揺るがず、
江葉都先生と二人で星野さんのオペを執刀すると誓う。
そんな中、星野さんも大きな決意をする。
胸の再建術はしない!と。
インプラントの再建術を同時にやれば、うまくいけば、
見た目もほとんど元どおりにできるかもしれない。
しかも、コトー先生ほどの腕があれば、乳癌なんてあったことがわからないくらい、
きれいにオペしてくれるかもしれない。
でもだからこそ、時間が経てば乳癌になったことを軽く考えてしまうから。
術後も星野さんが看護師を続けられたら、乳癌のお世話をすることも当然あり、
その時のために、星野さんが味わった思いを、自分の目で確かめられるように、
胸はそのままの形で残したい、と。

最近、芸能人でも乳癌だったことを告白する方がいらっしゃいますが、
皆さんに共通しているのが、術後に自分の経験を語ってくださること。
女性特有の病気だからこそなのかもしれませんが、自分が経験した痛みや思いを、
赤裸々に語ってくださるんですよね。
しかも割とポジティブにとらえていて、心強いアドバイスまでしてくださる。
正直、私自身が乳癌になるなんて考えたこともないのですが、
いざって時に思い出したら、きっと勇気を与えてくれるんじゃないかな、と思います。
それに、検査に行くのは勇気がなくても、ちょっと自分で触診してみようかなって思ったりするし。
こうして勇気を連鎖していくのはとてもいいことだと思います。

ちょっと横道にそれましたが、いざ、星野さんもオペ開始。
アイソトープ法と色素法併用によるセンチネルリンパ節生検で、
摘出したリンパ節の検体を迅速病理検査に提出、
結果が出るまでに皮下乳腺全摘術を行うというもの。
ただし、前述したように、もしも転移があれば、リンパ節郭清になります。

さすがに余裕のないコトー先生。
そこに漬け込んだ鳴海先生の罠!!
病理部より、リンパ節転移「陽性」と報告を受けるのです。
しかし、冷静な江葉都先生が鳴海先生を疑い、再度、病理部に確認に行くと…
星野さんの検体は「陰性」だったことが発覚!
鳴海先生がわざと検体を取り違えていたのです。
そうとわかれば、改めて皮下乳腺全摘術を再開する。
しかし、そこでもアクシデントが…。
内視鏡の電源が入らない!!
このまま内視鏡なしで止血縫合することに。
そこでまた、アクシデントが!!
星野さんのサチュレーションが下がり続けてしまう…。
なんと、オペが立て込んでるからといって、麻酔医を手配していなかった!
江葉都先生に麻酔管理を任せ、何とかオペを切り抜ける。

個人的な憎しみの為に、患者を巻き込むのは、医師としてあってはならないこと。
なんとあの江葉都先生が、鳴海先生と改めて向き合うことに。
折しも、鳴海先生がかつてのように、奇声をあげて失神したのです。
それは紛れもなく幻痛による発作。
江葉都先生が昔切断したのは、右脚の膝下10cmのところでしたが、
今の鳴海先生の右脚は、膝上で切断されていました。
恐らく、鳴海先生は幻痛から逃れるために、自分の脚を切断したのではないかと。
また、これまで患者の手足を切断し患者の痛みを取り除くことで、
自分にも案痔をかけていたのかもしれない、と。

こういう内在化された問題となると、私の出番(!?)。
心理学の知識が活かされるところですね。
私は専門家ではないので、共感や納得できる程度ですけどね;

鳴海先生にこの発作を起こさせたのは、鳴海先生の患者の木村さん。
2年前の交通事故以来、右手首の痛みに悩まされ続け、
案の定、鳴海先生から切断をすすめられたのですが、
セカンドオピニオンを求めてコトー先生の診療所にやってきた人です。
しかし結局は鳴海先生に従い右手首を切断し、義手をつけていました。
それでもやはり痛みは治まらないと。
コトー先生は、この木村さんの痛みも幻痛、つまり精神的なものだと見抜いていました。

ここから、木村さんの治療はコトー先生が請け負うことになりますが、
次巻でたっぷり語りたいと思います。

それにしても、星野さんの手術が無事に終わって良かった~。
島の大事な看護師を、個人的な復讐によって失うのは、納得いかないですしね。
ただでさえ三上先生が亡くなったばかりだというのに、
これ以上、身近な登場人物が無念に亡くなっていくのは見たくないです。



Dr.コトー診療所 (18) (ヤングサンデーコミックス)

Dr.コトー診療所 (18) (ヤングサンデーコミックス)

  • 作者: 山田 貴敏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/12/05
  • メディア: コミック


絶海の孤島・古志木島の小さな診療所で
数々の難手術を成功させてきたDr.コトーこと五島健助。
看護師・星野の乳房に見つかった腫瘍を取り除くため
本土の病院に渡った彼は、外科医・江葉都に協力をあおぐ。
緊張の中、オペは始まるが、江葉都となんらかの因縁があり、
コトーをよく思っていない義足の医師・鳴海が、
医師として許し難い行動を起こし、星野の容態は急変する……!!
奇跡と感動の離島医療物語、第二部緊迫。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

(miss)understoodホタルノヒカリ 4 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。