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TIME

シングルと合わせてリリースが立て込んでいた時期で、
スガさんの中の制作欲がものすごく感じられる1枚です。
内包的なグルーヴと、タイトル通り、現在・過去・未来に立つスガさんから、
まるでリスナーへ語りかけるような質感は、
「徹底した"歌モノ"にしたかった」という自身で描いた理想通りの仕上がりとなりました。

このアルバムタイトルの由来は、
「少年性を帯びたものから、だんだん青年になって大人になっていく、
段階を経てる歌詞が書かれてる」とどなたかに指摘されたからだそう。
その辺にも注目して聴いてみたいところです。


サナギ
これ以前までスガさんはアルバムの1曲目は比較的ハデ目なオープニング曲を配置してきたのですが、
今回はこの曲での幕開けを選んだこと、
これはスガさんにとってある種の賭けだったそうです。
プリンスの『サイン・オブ・ザ・タイムス』のイメージ。
しっかりした歌モノのアルバムにしたかった、と。

この曲は歌詞の感じから何まで、いかにもスガさんっぽい!
それもシングル曲にすると世間から白い目で見られちゃうので、
アルバム曲にしかなれない感じの曲です。
そういうえげつない表現が聞けるのも、スガさんのアルバムの醍醐味ですよね。
ただ、女性的な世界観を持ったナンバーというのは、スガさんのなかでは珍しいのかも。

それはさておき、アルバムタイトルの由来を書きましたが、
サナギなんて正しく成長の過程そのものですよね。

カラッポ
バンド一発録りで、スガさんはベースを担当しています。
独特のグルーヴ感が心地よくて、すぐノレるし、耳にも残りますよ。
曲調の割に歌詞は「もう沢山だ」とか、愚痴ばっかり(笑)
「まともなのは自分しかいない」って感覚、時々私も思うことあります。
全く自意識過剰もいいところだ。

光の川
「光の川」とは車のライトが流れる様子を表現しています。
なので、ドライブミュージックにピッタリですね。
今のような、しっとりと秋の行楽シーズンにオススメ。
楽器を使わずに鼻歌で作っていた際に、
ちょっと異色な、ポップスだけどポップスじゃない感じの曲が浮かんだそうで、
デモテープに録ってスタッフに聴かせたら『これは秋のシングルだね』と言われたとか。
ちなみに、本人曰く、歌うのがものすごく難しいそうです。

アーケード
この曲はアレンジが新鮮でした。
「アーケード」なんてワードが出てきちゃうと、自分が知る限りのアーケードを想像してしまうのですが、
実際には特にモデルがあったわけじゃなく、
スガさん自身もアーケードのある所に住んだことがないそうです。
そういや私もそうだなぁ。
だから私の知ってるアーケードは、よくテレビで街灯インタビューなんかに登場するシーンです。

クライマックス
一言で言うと、フラれちゃった帰り道をリアルに表現した曲。
心の中の台詞なんかがありありと出てくるので、そんなに重たくなく聞けるのがいいです。
実はシングルとアルバム収録分ではバージョンが異なっています。
シングルでバカになりきれてなかったので、
サックスソロも「おバカなのを入れてください」と頼んだそうです。
ヘボい感じと言うか、誰にでも出来るファンキーな感じにはしたくなかったので、
ギターのフレーズも散りばめたりして、
おもちゃ箱をひっくり返すような賑やかさをイメージしたとか。
だから明るく聴けるんですね!

PVには稲川淳二さんが出演されてます!
明るい曲調とのギャップが面白いです。

June
この曲はCMソングになるほどわかりやすく、誰もが聞きやすい曲に。
ファンとしてはコアでディープな曲が多くなるのは大いに結構ですけど、
時にはこういうエッセンスも必要ですよね。
CMというのは住宅のCMで、これがまた内容的にもピッタリ。
新しい街に引っ越してきて、心機一転、新しい生活を始めようとする気持ちがリアルに書かれてます。
私が初めて一人暮らしをした時は…確かこんな風に思ったなぁ。

実は、アルバムの制作が佳境に差し掛かった頃、
突如録音機材がデータごと破損してしまうという悲劇が起きたそうです。
しかしスガさんは自分でも驚くほど冷静に、
「きっと世に出るほどの曲じゃなかったんだ」と思い直して、
〆切りまでの4日で仕上げたというナンバーがこの曲。
理屈抜きで誰もがポップスだと思えるような曲が欲しかった、
今にして思えば機材が壊れてくれてよかったのかもしれない、とはスガさん談です。

あくび
実際に寝ようとして寝れない時の気持ちを書いた曲で、ものすごくリアル。
眠れないスガさんはこんなこと考えてるんだ~ってほくそ笑んでます(笑)
確かに頑張って寝ようとするとかえって寝れないんですよね。
次の日起きれるかな?なんて緊張してると、余計にそう。
やっぱり適度に疲れがあって、それを回復するために自然に眠りにつくのが一番です。猫みたいに。

魔法
ブランコの揺れる音から始まります。
この曲もまた、スガさんらしい歪んだ世界観が広がっています。
日常にあるモヤモヤしたものを取り除きたい!っていう感じ。
個人的な印象として、ドラ○もんに道具をせがむようなイメージでした(笑)

秘密
スガさんと秘密。何て相性のいい取り合わせなんでしょう(笑)
ラジオ番組のレギュラーパーソナリティーを担当している頃、
リスナーから寄せられた「学校の同じクラス内の恋愛や社内恋愛って、
どうしてあんなに秘密にしたがるんだろう..,...?」
といった投稿メールに着想を得たそうです。
自分しか知らない「君」。
それは大いなる秘密で、誰にも知られたくないでしょうね。
そういう自分しか知らない自分を知ってるのって、すごくくすぐったい感じがする。

沸点手前の温度のまま進んでサビで融解されるという、
どこか跳ね切らない16ビートは、
スガさんが奏でるグルーヴの稀有な位相を物語るかのようです。
洗練というよりは、ガサツで勢いのある感じを目指したそうですが、
まさにスガさんにしか書けないファンクの在り方の一つでしょう。

風なぎ
読みは「かざなぎ」。
「なぎ」とは、風が一瞬フッと止んで、音が無くなるような状態を表現する言葉ですが、
そのイメージに沿うようにシンプルで静かなアレンジ。
スガさんにしては珍しく風景が出てこなくて、内情を切々と歌い上げています。



TIME

TIME

  • アーティスト: スガシカオ
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2004/11/17
  • メディア: CD


1.サナギ
2.カラッポ
3.光の川 http://youtu.be/AwMvpdTcx8A
4.アーケード
5.クライマックス  http://youtu.be/O5kmTBF4zhE
6.June https://youtu.be/vOewSn9XGns
7.あくび
8.魔法
9.秘密  http://youtu.be/PQ9sAE86aD4
10.風なぎ
タグ:スガシカオ
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